東京ソワール 揚羽

写真左から:
株式会社東京ソワール 執行役員 デジタル戦略部長 兼 マーケティング室長 島村 聡さま
株式会社東京ソワール 経営企画本部 経営企画部 鹿島 直樹さま
株式会社揚羽 制作第1部 プロジェクトマネジメント1グループ 小林 夏帆
株式会社揚羽 ブランディングコンサルタント 兼 クリエイティブディレクター 板倉 マサアキ
株式会社 揚羽 ブランドマーケティング第1部 ブランドマーケティング3グループ 細川 和正
※2024年4月取材当時

選定理由・プロジェクト体制

― 2023年3月にミッション・ビジョン・バリューとムードボードの策定後、改めて今後のリブランディングプロジェクトの進め方をご提案させていただき、複数社の中からパートナーとして選定いただきました。その理由をお聞かせください。

島村さま
どの企業さまからも三者三様の素晴らしいご提案をいただきました。
ただ、このリブランディングプロジェクトは一朝一夕で終わるものではなく、これから何年もかけて取り組んでいかなくてはいけない。そこに伴走していただくのは、すごくパワーが必要ですよね。1年、2年、3年、いずれは自走していける程の力を当社の中にどれだけ蓄えられるかというと、やっぱりサポートしていただく方々の「熱量」がどうしても必要だと思ったんです。私たちに足りない部分は、叱咤激励もしていただかなきゃいけないし、もちろん支えていただかないといけないという。
最終的にはその「熱量」で揚羽さんに依頼させていただきました。弊社についてどこまで理解してもらえて、その上でご提案の内容はもちろんのこと、長く伴走していただけるかという部分も含め、検討させていただきました。揚羽さんは、もちろん言葉づくりの期間もありましたが、表面的な部分だけでなく、本当に弊社の価値を理解して提案していただいていると感じました。

東京ソワール リブランディング プロジェクト

板倉
とても嬉しいお言葉をありがとうございます。
そこから、「ブランド基盤プロジェクト」「インナーブランディングプロジェクト」「アウターブランディングプロジェクト」と3つのプロジェクトを同時に進めていきましたね。東京ソワールさまにも、3つのプロジェクトチームを編成いただきました。

鹿島さま
ブランド基盤プロジェクトは、今までつくられていなかったブランドガイドラインをきちんと定めましょうという目的だったので、経営企画部とマーケティング室のメンバーを中心に、コンパクトな体制で進めていきました。
インナーブランディングプロジェクトは、言葉づくりの際のメンバーと、全部門から集まるよう新たに3名程加わってもらいましたね。
アウターブランディングプロジェクトは直接業務に関わるということで、インナーブランディングプロジェクトのメンバーのうち、営業やマーケティングに携わるメンバーに参加してもらっています。

板倉
東京ソワールさまの場合、社員同士顔なじみの方が多いこともあり、部署横断のプロジェクトでも始めからコミュニケーションが取りやすそうでしたね。

揚羽 リブランディング 対談

鹿島さま
そうですね。もちろんスケジュールの調整などは大変でしたが、その分コミュニケーションが活性化されて、さまざまな意見が出ていたのではないかと思います。他の部署が考えていることも分かり勉強になりました。

「インナーブランディングプロジェクト」

ー 3つのプロジェクトの中でも、この1年で最も時間をかけてきたのが「インナーブランディングプロジェクト」と伺っていますが、どのように進められてきたのかお聞かせください。

板倉
このプロジェクトの目的は、従業員の皆さまの新しいブランドへの認知・理解を深め、体現していただくことで、新しいブランドの発信者になっていただくことです。その第一歩として、社内を盛り上げていくための「社内スローガンの策定」と、「社内発表会の企画」からスタートしました。
まずはプロジェクトメンバーの皆さまにアンケートをとり、東京ソワールの従業員としての使命感、東京ソワールの存在意義、東京ソワールの従業員としての誇りなどをお答えいただきました。集まった想いをもとに社内スローガンの方向性を『フォーマル文化を浸透させてきた自負と誇りを持ち、ものづくりに徹底的にこだわる社員に対して、新しい可能性に挑戦し、会社の存在意義と将来性を感じ、あらためて東京ソワールを好きになってもらう。』としてまとめ、『もう一度、文化を創ろう。』という社内スローガンをご提案させていただきました。
結構ここの話は盛り上がりましたよね。選ばれなかった案も、プロジェクト名として使っていただいたり(笑)。

鹿島さま
そうですね。社内スローガンを決める過程で案としていただいた『変ワル、ソワール。』が、プロジェクトメンバーの中でかなりヒットして(笑)。
社内スローガンとしては『もう一度、文化を創ろう。』に決まったのですが、これはこれで伝わるということで「リブランディングプロジェクト」として動いていたところを「変ワルソワール PROJECT」と呼ぶようになりました。

東京ソワール インナーブランディング

板倉
まさに決意を示す言葉なので良かったです。プロジェクト外の方からも呼びやすい会議体になったのではないかなと思いますが、いかがでしょうか。

島村さま
全社に向けた報告会では、リブランディングという言葉は使わずに「変ワルソワール PROJECT」として進捗状況を話しています。どんどん浸透させているところですね。

ー 「社内発表会の企画」については、どのように進められたのでしょうか。

板倉
社内スローガン策定のアンケートと同じタイミングで、新しいブランドを社内に伝えるための社内発表会のコンセプトのアイデアを集めさせていただきました。そして、コンセプトの方向性は『会社(経営陣)の新しいブランドへの覚悟を知ることで、会社の将来性を理解し、ワクワクする。今ままで知らなかった隣の人の “好き” や “熱意” を感じ、あらためて東京ソワールが好きになる。』となりました。
さらに、発表はどういった形で…タイミングや場所は…などの検討を進める中で、時間をかけて準備してでも大々的にやろうということで、2023年12月に会場を抑えて実施することが決定しました。
そこから、イベントに向けたコンテンツの企画や、ポスター、クレドカード、ブランドムービーなどのツールの制作を進めていきましたね。

鹿島さま
特にブランドムービーについては、私は撮影からナレーションまですべて参加させていただいて、一緒につくりあげた感覚がすごくあります。
もともとは、素材をつなぐか役者さんにお願いするかという話の中で、「嘘のない映像」をコンセプトにしすべてリアルな場面を撮影すると提案いただきました。当初、本当にできるのかなという不安はあったのですが、揚羽さん、特に小林さんのお力を借りて形になりました。

小林
私にとっても、とても思い入れのある映像です。ブランドムービーの目的は、言葉だけでは伝わらない新しいブランドの世界観を、新しく策定したミッション「大切な想いの、すぐそばに。」を真に伝えるということでした。
私が本格的に参加させていただいたのは「インナーブランディングプロジェクト」からでしたが、社内ではブランドシンボル開発の様子から聞いており、絶対にリアルな映像が必要だと思っていたんです。「“美しく生きようとする”すべての人々」は絶対に自然体な生の映像であるべきだと。鹿島さまをはじめとした皆さまにも共感いただき、こうして実現できたことをとても嬉しく思います。

揚羽 インナーブランディング イベント

鹿島さま
1分45秒の映像を4日かけて撮影、さらに、その前の準備からものすごい時間と労力をかけていただいたと感じていますし、熱意も伝わってきました。それが、クオリティに直結するのだと思いました。
ブランドムービーを見た従業員からは、感動した、泣きそうになった、と言う声も多くて。販売員の方々にも見ていただいているのですが、とても反応が良く嬉しいです。

板倉
未来の話である「事業領域の拡大」をポジティブに捉えられるようにするということで、事業の先にあるエンドユーザーの表情を伝える映像にしました。社外に向けてももちろんですが、特に社内の皆さまに届けたい部分だったので、響いているようでよかったですよね。

島村さま
とても良い映像ですよね。想像以上でした。

ブランドムービー
ブランディング 映像

小林
ブランドムービーと並行して、プロジェクトメンバーの皆さまへのインタビュームービーも制作させていただきました。丸一日、1名ずつインタビューさせていただきましたが、あの1日が一番印象に残っています。
そこまでは、お一人おひとりの想いを語られるような場面がなかったので、撮影当日に初めて皆さまの熱い想いを聞いて、すごい方たちだと。こんなに熱い方たちと仕事をしているのだと感銘を受けました。ブランドムービーでリアルな場面を撮るのはやはり難しく苦労する部分もあったのですが、絶対に良い映像をつくらなければと、この撮影を機にぐっと、さらに気持ちがあがりました。

変ワルソワール プロジェクト
インナーブランディング インタビュー 映像

板倉
私もインタビュアーとして参加させていただきましたが、同様にとても印象に残っています。定例会では人数も多いので発言の数としては限りがありますが、1名30分程お話させていただいて、全員がとても強い想いを持たれていると感じました。

島村さま
一人の方が好き勝手喋りやすいですからね(笑)。私たちもメンバーそれぞれが何を話したか知らなかったのですが、とてもいい映像ですよね。何回も見ています。

鹿島さま
板倉さんがインタビュアーとしてうまく引き出してくださったので、自然と話せました。そして、うまくつながって全体でストーリーとして見られたので、話したことがこうなるんだというのが面白かったですね。

板倉
お一人おひとりがどう考えているのかが、従業員に伝わるのはとても重要ですよね。経営層の想いももちろんですが、キーパーソンの皆さまの想いを知ることで、プロジェクトの本気度が伝わったのではないかと思います。

鹿島さま
アンケートでの評判も良かったです。『グッときました』というコメントもあって嬉しかったですね。社内でも話しかけられるようになりました(笑)。

ー 従業員の皆さまへのお披露目となる社内発表会は、どのように実施されたのでしょうか。

鹿島さま
「Rebrand Kick-off Party」と称して、都内のホテルで実施しました。当日は、社外取締役や内定者も含め221名に参加いただきました。揚羽さんには、会場の手配、進行台本、当日の運営、懇親会の企画、パーティーの装飾などをご支援いただきました。

インナーブランディング イベント ツール
東京ソワール インナーブランディング イベント
東京ソワール リブランディング イベント

小林
最初は、どこまで思い切った企画を提案して良いのかと思っていましたが(笑)。提案させていただく中で、もっといこう、もっといこうとたくさんアイデアが膨らんでいって。採用いただけたのは嬉しかったですし、皆さまに楽しんでいただけたのが良かったです。

島村さま
時間がない中で、あそこまで良く出していただいたなと思っています。

鹿島さま
発表会後のアンケート調査では、発表した理念への理解度は60.0%、共感度は92.0%。先ほどもお話したように、定性的なアンケートでもポジティブな意見もあり、良かったのではないかと思います。
私自身も、発表会・懇親会直前の準備は大変でしたが、毎回の定例も楽しみでしたし、とても充実していたなという気持ちです。

東京ソワール 揚羽 リブランディング 支援

小林
発表会で従業員の皆さまが感動している様子を見たり、泣いたという声を聞いたり、多くの反響をいただきました。発表会が、従業員の皆さまに本気で変わるんだなということ、変わって良いんだなということが伝わっていくきっかけになれたのかなと思います。今後もプロジェクトを通して、伝わっていくと良いなと思っています。

板倉
プロジェクトの方々が各部署のキーパーソンなので、この1年を通して、その方々が主体的に変わっていかなければと考えていただけているというのは、ひとつの大きい成果かもしれませんね。

島村さま
火種を消さないことが大切ですね。

中編として、3つのプロジェクトのうち「インナーブランディングプロジェクト」1年目の活動をお話いただきました。次の後編では、「ブランド基盤プロジェクト」と「アウターブランディングプロジェクト」のプロセス、さらに、現在の浸透状況と今後の展望についてお伺いします。