プロジェクトの背景

同社は2023年3月に、新中期経営計画を発表。今回発表された新中期経営計画の目標達成のためにはグループ経営の推進が不可欠であり、「Bringing value to life.」というグループ企業理念を通じたグループ全体の一致団結が必要でした。

「Bringing value to life.」は、「もの運び・価値運びを通じて世界中の人々により豊かな生活をもたらす」というグループの目的・存在意義を明示したものです。従業員は言葉そのものを認知していましたが、そこに込められた想いまでは浸透していないこと、そして時代が進むにつれて創業時から大事にされてきた考えが薄れてきていることが懸念とされていました。

そこで同社では、新中期経営計画の目標達成に向けて、グループ企業理念の浸透強化のためのタスクフォースチームが立ち上がります。そんな中、過去に同社のバリュー(企業理念を実現するために、社員が共通して持つべき「価値観」)浸透映像を制作した実績もありご縁をいただき、企業理念の浸透映像の支援がスタートしました。

国内のみならず海外も含む全グループ社員を対象に、創業時からの歴史と三菱グループ創業者・岩崎彌太郎の想いを紐付け、「Bringing value to life.」の認知と理解を促すことを狙いとしました。

日本郵船 紹介映像

プランニング

「Bringing value to life.」の源流は、三菱グループ創業者・岩崎彌太郎氏の時代から続く、価値を運び、社会を支えることへの使命感と志です。この使命感と志を持ち、日本郵船は激動の時代を乗り越えてきました。取り巻く環境が大きく変化している現代においても、「Bringing value to life.」の想いは共通。一方で、現在の日本郵船グループの立場と紐づけて「Bringing value to life.」を伝えるコンテンツが無いという状況でした。

そこで、プロジェクトで達成すべきゴールとして、「Bringing value to life.」の存在や意味を日本郵船の歴史と三菱グループ創業者・岩崎彌太郎氏の想いと合わせて理解してもらうことに設定しました。創業者・岩崎彌太郎氏と日本郵船の歴史から現代に通ずる想いを抽出し、過去と現在を紐付けて理解できる映像構成を検討。そして、国内外のすべての社員が理解しやすい表現方法を検討する流れでプロジェクトを進めていきました。

浸透動画は「なぜ今、理念が必要か」という理念の必要性の訴求、同社の歴史に通ずる日本海運の歴史と岩崎彌太郎氏の自伝の紹介からスタート。日本海運の運命を左右する「激動の時代」で同社の前身となる郵便汽船三菱会社を創業した背景と「激動の現代」をリンクさせ、グループ全体が一致団結するために理念が必要であることを訴求できる構成としています。

創業者と日本郵船の歴史を整理するなかで、「Bringing value to life.」の語源となる岩崎彌太郎氏の言葉「我ら一艘の船を浮かべれば、世に一層の便をもたらし、その利は全人民の頭上に落つる理なり*」を紹介。現代に受け継がれるべき岩崎彌太郎氏の想いと企業理念「Bringing value to life.」のつながりを明らかにすることで、企業理念に込められた想いや社員が大事にすべき使命感を伝達できる動画としています。
* この言葉は、日本郵船株式会社にて一部意訳しております

アウトプット

冒頭では、これまで積み重ねられてきた同社の歴史の深さ、これからその歴史を振り返っていくことを想起させるような本のページをめくる表現を取り入れています。

動画は実際の歴史をなぞっていく構成のため、素材のリアリティ感を重視。そのため、素材のほとんどは史実・史料調査に基づいて、実物または極めて実物に近いものを選定しています。素材のリアリティに徹底してこだわることで、動画を視聴した社員が岩崎彌太郎氏と同社の前身である郵便汽船三菱会社が紡いできた歴史を自分事として捉えられるよう工夫しました。

また、素材はそのまま使用するのではなく、当時の描写がよりリアルに映るようすべてトリミング。奥行き感を意識した編集を心がけ、立体的な視覚効果から視聴者を引き込むような映像としています。

日本郵船 浸透映像
日本郵船 Bringing value to life. 浸透