日清食品ホールディングス 揚羽 対談

写真左から:
日清食品ホールディングス株式会社 情報企画部 主任 二村 友也さま
日清食品ホールディングス株式会社 情報企画部 デジタル化推進室 係長 丸石 麻世さま
日清食品ホールディングス株式会社 情報企画部 係長 小西 博子さま
日清食品ホールディングス株式会社 情報企画部 課長 岩下 輝彦さま
株式会社揚羽 制作第1部 ディレクター1グループ マネージャー 齋木 修一
株式会社揚羽 制作第2部 部長 西 裕一郎
株式会社揚羽 制作第1部 ディレクター3グループ マネージャー 佐野 崇倫
株式会社揚羽 ブランドマーケティング第1部 ブランドマーケティング2グループ 望月 勇輝
※2024年4月取材当時

【ご依頼前の背景】

  • グループ全体の連絡・情報管理・連携を強化するためのポータルサイトが必要だった
  • ポータルサイトを通じて社内コミュニケーションを活性化したい

プロジェクトの背景・ご支援のきっかけ

― まずは弊社にご相談いただいた背景をお教えいただけますでしょうか。

日清食品ホールディングス 岩下さま
弊社は2013年からMicrosoft365を全社的に導入しており、2015年から今のSharePointを活用した、いわゆる社内ポータルサイトを作成しました。作成されたポータルサイトは各部署のコンテンツや、情報を社内に発信する場として運営していました。
プロジェクトの発足を検討した2021年から、サイトの接続が遅く社員に見てほしいお知らせにたどり着かないことが多くなりました。SharePointは従来のサイトよりも簡単に構築できるというメリットがある一方で、デザインの自由度が低いというデメリットがあります。そのため、SharePointで作成できる範囲ではデザインがシンプルで単一になり、サイトの情報が画一化してしまっていました。欲しい情報にたどり着けず、直接担当部署に聞きに行くという非効率な状態が発生していたのです。不便で使ってもらえない上に、モバイルにも対応しておらず誰もが使いづらさを感じていました。
「使い勝手が悪ければ、社内・グループ内のコミュニケーションを活性化できない」「皆が情報発信・コミュニケーションを円滑にできるような社内ポータルサイトを作っていきたい」といった想いが、プロジェクトスタートのきっかけになっています。

日清食品ホールディングス インタビュー

揚羽 齋木
初めは、社内でSharePointを使ってできる範囲のデザインを考えられていたのですよね。

日清食品ホールディングス 岩下さま
そうですね。ただ経営層からは、一つひとつのパーツをとっても、より面白く日清らしくというフィードバック(以下、FB)があったのです。社外のコンテンツだけでなく社内コンテンツもとことん追求する会社なので、日清らしさを表現するのにSharePointだけではやはり限界を感じていました。
日清らしさを体現した究極の社内ポータルサイトを作ろう!と言っても、デザインのセンスや技術的な知識の面でも、さらにデザインと構築をアジャイル的にスピーディーに進めていくという面でも、我々のリソースでは厳しい条件でした。そこで、他の部署を含めてこれまで弊社らしいコンテンツを多数手がけてくださっていた揚羽さんにお声がけさせていただきました。

日清食品ホールディングス 小西さま
弊社は、デザインやマーケティングに携わる社員に限らず、どうしたらクリエイティブに仕事ができるかを常に問われる会社です。社内ポータルサイトも単なる社内向け掲示板ではなく、社外向けWebメディアを作るのと同じ熱量でやることが日清らしさにも繋がっていくのだと思います。
特にコロナ禍で出社率が一気に下がった際、社員が日清らしさや会社との繋がりを感じる接点が、ポータルサイトでしたので、やっぱりユニークでクリエイティブでないと面白くないし、社員からも見られないと感じていました。

日清食品ホールディングス 支援 インタビュー

日清食品ホールディングス 岩下さま
ユニークなデザインの他、いかにスピーディーにプロジェクトを進行できるかという点も重要でした。我々が考えている抽象的なキーワードやイメージをスピーディーに形にし、経営層と意思疎通を図っていく。ここを一緒に悩みながら伴走していただけるのは揚羽さんしかいないと思いました。
技術面のサポートはできても、そこにデザイン性やスピード感のある進行も兼ね備えたパートナーさんは多くないので、包括的に受けていただけるところも揚羽さんの強みですよね。

日清食品ホールディングス 小西さま
これはお世辞ではなく、揚羽さんに今回の件を受けていただかなければプロジェクト自体が始まらなかったと思います。

揚羽 齋木
嬉しいお言葉を、ありがとうございます。

プロジェクトのプロセス

ー 社内ポータルサイト完成まで、どのようなプロセスで進んでいったのでしょうか。

日清食品ホールディングス 岩下さま
今回のプロジェクトは、ローンチまでに2年費やしていますが、揚羽さんにお願いする前も含め最初の半年間は、まずはSharePointのモダンUIでできる範囲内で日清らしさをどう表現するのかを検討しました。

揚羽 齋木
弊社がジョインしてからもさまざまな検討を重ねて何度もやりとりさせていただいたのですが、なかなか課題の壁を超えられず。
一般的なWebページをつくるのと同じように、HTMLでトップページを作りませんか、とお話させていただきました。

日清食品ホールディングス 岩下さま
HTMLでポータルサイトを作ってSharePointに埋め込むということなのですが、今回の大きなブレイクスルーポイントの一つになりましたね。
ただ、初めにご提案いただいた時は、この先自分たちでメンテナンスを含め運用していくことを考えると、Webサーバーを立ててやるのは少し非効率だなと感じていました。また、本来推奨されていないやり方なので、そもそもシステム的にできるのか、不透明な状況でした。
SharePointという一つの制約の中で、HTMLやCSSを併用したカスタマイズでどこまで挑戦できるのかを揚羽さんの方で考えてくださり、弊社でも二村を中心に技術的な検討を重ねました。

日清食品ホールディングス 二村さま
さまざまな制限がある中で、検討した内容を一つひとつ検証して進めました。検証期間は3カ月程かかりました。HTMLを導入しても上手く動くのか、デザインや仕様がどこまで再現できるかわからないので、弊社がマストで実現したい項目や優先順位を揚羽さんにお伝えしながら検証していきました。

日清食品ホールディングス 対談 インナーブランディング

揚羽 齋木
前例がなく、参考にできる事例もないので、検証項目を出していただき、お互いに模索しながら一つずつ懸念要素を解消していきました。二村さんには検証の準備やスケジュールの調整など、さまざまな面でフォローいただきました。弊社としても事例のない案件にチャレンジできたのは、二村さんをはじめとした皆様のご協力があってこそだと感じています。

揚羽 支援実績 インタビュー 日清食品ホールディングス

日清食品ホールディングス 小西さま
検証と同時並行で、もともとの単一なデザインから、情報を受け取りやすく、かつ日清らしいユニークで面白いデザインにするために試行錯誤していったのですが、ここで半年程かかったかと思います。
数カ月に一度の経営層への報告の場では、何度も、技術面だけでなくプロジェクト全体に対して「もっと面白く」というFBをもらい苦労しました。
定期的に経営層にFBをもらって進めていくので、デザインのスピード感が求められるプロジェクトでした。

揚羽 齋木
「もっと面白く」は高い壁でしたね。毎週定例でいただいていた打ち合わせの時間は、デザイン制作の期間中はディスカッションさせていただくことが多かったと記憶してます。打ち合わせ中に弊社のアートディレクターである西がその場でデザインを修正しながら、デザインの輪郭を決めていきました。     

日清食品ホールディングス 丸石さま
抽象的なFBにもかかわらず、オンラインで画面を繋ぎながらその場ですぐにデザインとして形にしていただき、本当に助かりました。

揚羽 西
SharePointではデザインに制限があるため、「もっと面白く」というご期待に添うのが難しかったのですが、HTMLになってからは工夫の幅に制限がなくなったので、多くの情報をいかに見やすく効率よく閲覧してもらうかを優先して提案することができました。
いくつか提案した中に、記事リンクのサムネイルを規則正しく並べて表示する“グリッドデザイン”がありました。

日清食品 揚羽 デザイン

日清食品ホールディングス 小西さま
これがデザイン面でのブレイクスルーポイントでしたよね。
出していただいた時、皆の顔色が変わりました。このご提案のおかげでグッとWebメディア感が出て、プロジェクトの方向性が見えた感じがしました。今のポータルサイトの原型になっています。

揚羽 齋木
グリッドデザインが決まってからは、サイト内のデザインの自由度が高まり、さまざまなアイデアを練ることができました。

日清食品ホールディングス 小西さま
どの部署もそうなのですが、我々IT部門においても、攻めの姿勢とクリエイティブさを求められていましたので、システムとしての基本はしっかり守りながら、デザインや動きの部分は遊び心を加えることを意識して進めました。

揚羽 西
昼と夜の時間帯で色を変えるというアイデアもありましたよね。桜の季節に桜吹雪が舞うとか。

日清食品ホールディングス 岩下さま
社内のポータルサイトでそこまでこだわっている会社って聞いたことがないですよね。ないって言い切っていいと思います。(笑)

揚羽 齋木
システムやデザインが固まってきた段階で、SharePointの実績が豊富なディレクターの佐野がプロジェクトにジョインし、コーディングとSharePointの連携を進めていきました。

日清食品ホールディングス 丸石さま
時期的に、デザイン面やコンテンツも検討していかなければいけないタイミングでした。
佐野さんにご相談させていただき、ニュースのような重要度の高い情報をアピールできるPRギミックをご検討いただいたり、モーダルウィンドウを出せるように開発していただいたり、課題に対して一緒に伴走していただきました。

揚羽 佐野
私がジョインした時、すでに形はできていて、載せる情報も大体決まっていました。ちょうど宣伝部の確認が入るタイミングでしたので、桜の季節にサイトの背景に桜吹雪が舞う仕掛けを齋木や西と共に提案させていただきました。
あとは細かいレイアウトであったり、文字数は何文字だと見やすいか、配置はサムネイルの上がいいとか、そのような魅せ方の調整とブラッシュアップをさせていただきました。
構築段階でも、アニメーション動画のサイズ別にページ全体の読み込み速度を検証し、ページの読み込み速度が遅くならないようにするなど、細部まで確認・調整しました。

社内ポータルサイト 制作

日清食品ホールディングス 岩下さま
調整を重ねた上でローンチさせていただきましたが、我々にとってはローンチがスタートラインだと考えています。さらにブラッシュアップを重ねてより良いものにしていきたいです。
このポータルサイトを見ることで、「日清らしさとは何か?」を常に社員一人ひとりが自分自身で考えるきっかけにしてもらえればと思います。

■社内ポータルサイト

リリース後の効果・反響

ー ローンチ後の社員さまからの反響はいかがですか?

日清食品ホールディングス 岩下さま
スマホでも見やすくなったことで、利用者が明確に増えました。そして、反響として最も大きかったのはレスポンスのスピード感ですね。今までは10秒、20秒待たないと入れない程、非常に重たいサイトになっていたのですが、数秒程度でぱっと情報が表示されるようになり、社員のフラストレーションも解消できました。欲しい情報がすぐに手に入る環境を整えられたことで、アクセス数も伸びました。

日清食品ホールディングス 小西さま
それに加えて、情報が整理され視認性が高まったことで、社員が欲しい情報にたどり着きやすくなりました。情報掲載側にとっても、再掲や個別問い合わせの対応工数の削減に繋がっています。双方の煩わしさが軽減され、生産性向上の一助になったのではないかと考えます。

日清食品ホールディングス 社内ポータルサイト

ー デザインに関してはいかがですか?

日清食品ホールディングス 丸石さま
SharePointでできないデザインができたのはとても大きかったと思います。

日清食品ホールディングス 小西さま
背景に桜が舞う仕掛けは好評でしたね。

日清食品ホールディングス 岩下さま
何か他のものも舞わせようという話も出ていたよね?

日清食品ホールディングス 小西さま
なんでも舞わせられると聞きました。(笑)

日清食品ホールディングス 岩下さま
アイデアがまた広がりました。(笑)
あとは、キャリア入社で入って来られた方が必ず「これが社内ポータルなのか」と、いい意味で驚かれるのも嬉しいですね。

今後の展望

― 今後の展望などお聞かせください。

日清食品ホールディングス 丸石さま
いいポータルサイトができたので、まだまだ表現できることはたくさんあると思っています。コンテンツの内容であったり、桜吹雪のようなサプライズだったり、いろいろと検討していきたいですね。

日清食品ホールディングス 二村さま
まだ完成形ではなくて、ブラッシュアップの余地があると思っています。例えば検索窓はよく使われる部分なので、より情報にたどり着きやすくできないか、など考えていきたいですね。情報のたどり着きやすさはこのプロジェクトのメインテーマとしていたので、使いやすさは引き続き検討していきたいです。

日清食品ホールディングス 小西さま
今、ローンチして1年が経ちましたが、毎日見ているので見飽きてくるのではないかと思っています。(笑)
常に新しいチャレンジをして情報鮮度を保っていきたいですし、また、やはりモバイル活用を促進していきたいですね。社員それぞれが本来の業務に時間を費やすために、煩わしいことは極力減らしていくカスタマイズをしていきたいです。

日清食品ホールディングス 岩下さま
今後、ポータルサイトが会社全体を盛り上げる大きなチャネルになると思っています。自由度が非常に高い領域だからこそ、互いにアイデアを出し合いながら、創造的にブラッシュアップしていきたい。また、さらに注目を集めて、皆が情報を載せたくなるようなサイトを目指していきたいです。今まさに、本件とは別に生成AIを活用したプロジェクトが動いているので、社内の情報と生成AIを活用することによって、究極の日清らしいポータルサイトにできるのではないかと考えています。
現在も揚羽さんには障害サポートや分析からの新しい施策のご提案もお願いしていますが、常に進化していく日清らしいWebメディアを作っていくためにも、今後も引き続き伴走していただきたいです。

揚羽 齋木
お話を聞くだけでもワクワクしました。ぜひ一緒にチャレンジしていきましょう。
本日はありがとうございました。

弊社はブランド共創パートナーとして、コンセプトの策定から制作、社内での浸透活動まで一気通貫で伴走いたします。ぜひお気軽にご相談ください。