プロジェクトの背景

同社は、2024年に140周年を迎えることを機に、自社の強みや価値、誇りを従業員一人ひとりが再確認し、次の10年と次期経営計画の達成に向けた推進力を高めることを構想。これまで同社のインナーブランディングや採用ブランディングを支援させていただいたご縁からお声がけをいただき、周年ブランディングプロジェクトの支援がスタートしました。
140年におよぶ歴史の中で、経済や事業環境などが大きく変化する激動の時代を乗り越え、成長を遂げたからこそ、現在の株式会社商船三井の姿があります。企業のDNAとは、「なぜ乗り越えられたのか」「なぜその時にそう決断して動いたのか」といった、これまでの行動のなかにある「なぜ(Why)」に宿っています。
プロジェクトを通して、従業員の納得感や安心感、帰属意識を高め、グループビジョンの実現に向けた原動力にすることを狙いとしています。

プランニング

周年プロジェクト全体の構想・コンセプトの策定から、ツール・クリエイティブの制作、施策の実施まで一貫してご支援。約1年かけて「過去の振り返り」、「DNA・『らしさ』の要素の言語化」、「従業員への浸透支援」の順に取り組んでいきました。
周年企画のコンセプトは「商船三井ブランドの価値と力の源泉を再認識し、グループビジョンの実現と次期経営計画をやり切るパワーに変える。」です。ブランドの価値や強みを可視化するフェーズとして『DNAを紐解いたブランドの強み整理・周年コンセプト策定』『周年ロゴ・ガイドライン策定』、従業員が誇りを再認識・自覚できるようにするフェーズとして『全従業員がDNAについて考えるワークショッププログラムの開発』『社内報向け社史トピックのコラム執筆』を実施しました。

●DNAを紐解いたブランドの強み整理・周年コンセプト策定
DNAを紐解きブランド全体の価値構造を整理するにあたり、まずは、同社を深く理解するため、1,000ページ以上の「100年史」と「20年史」の読み込みと5名のキーマンへのインタビューを実施。インタビューでは、「商船三井の“強み”」、「事業の変遷、また、今後の経営計画やビジョンについて」、「変化する社会からの新しい要請に、いかに“適応”していくか」といった内容を伺いました。
そして、同社の強み要素を集約し、ブランドストーリーの基盤を構築。ストーリー化した要素をベースに、ブランド全体の価値構造を可視化。これをもとに、具体的な施策を検討していきました。

●全従業員がDNAについて考えるワークショップ
同社では、相互理解を深めることを目的とした職場単位での対話会を、部署別・話題別・役職別で、毎年100回以上実施されています。
この対話会を140周年特別企画として実施されたいご意向を受け、内容の企画設計を支援させていただきました。過去から未来へ継承し育むべき「MOL(商船三井)らしさ(強み)」を考え、共有することで、相互理解を深める機会として、対話に止まらずアウトプットにまでまとめるワークショップ形式で実施することをご提案。以下の3つのテーマで各職場において議論を進行し、アウトプットできるプログラムを設計しました。

  • テーマ1:自社らしさといえるワードとその理由を考える
  • テーマ2:未来視点で、より求められる自社らしさとそのイメージを考える
  • テーマ3:承継する自社らしさと未来への価値提供ストーリーの『CMコンテ』を作る

テーマ1では、社史の読み込みとインタビューから抽出した強み要素のうち、9つのキーワードを抜粋しワークシートを作成。9つのキーワードから自分が考える強みを3つ選択いただき、その理由を言語化していただきました。
テーマ2では、グループビジョンの実現と次期経営計画をやり切るためにより伸ばすべき強みは何か、未来視点で意見交換をしていただきました。
テーマ3では、テーマ1・2で考えた自社らしさのアウトプットとして、グループでCMコンテを制作。従業員それぞれが考える自社らしさを具体的な表現に落とし込み、一人ひとりが自社らしさや未来への価値提供の姿について自分ごとと捉える時間としました。

●周年ロゴ・ガイドライン策定
周年企画のシンボルとなる周年ロゴ、そしてロゴの使用ルールなどの情報をまとめたガイドラインを作成。
ガイドラインでは、ロゴのコンセプトや名刺・ポスターなどの各種ツールへのロゴの使用例・使用禁止例などを提示しています。ガイドラインにより、ブランドの世界観の統一を図りました。

●社内報向け社史トピックのコラム執筆
社史は同社のDNAを作り上げた軌跡であり、ブランド価値や強み、誇りを再認識するために欠かせない要素です。国内外に広がるグループメンバーが、より自社らしさを理解するアイコンとするべく4月に発刊された社内報周年特別号では、8つの歴史トピックのコラムを掲載。トピックは、1,000ページ以上の「100年史」と「20年史」から重要な出来事をリストアップし、同社のプロジェクトメンバーとともに精査して決定しました。

アウトプット

【周年ロゴ】
海運業と関連付けて、船に見立てた矢印のアイコンをデザイン。右方向を示す矢印のアイコンは、過去から現在、そして未来を切り拓き、次へと力強く進む同社の意志を反映しています。
また、オーセンティックな数字の書体をベースにしつつ、現代性を加えてアレンジした独自のデザインを考案。白矢印の太さや文字間隔など細かい部分まで試行錯誤し、洗練させた形で次に進む力強さと安定感をプラスした表現となっています。そして、ブランドイメージの統一感を高めるため、ロゴには同グループのロゴカラーと同じ色を使用しています。
作成したロゴは名刺やオフィスで配布されるノベルティ、新聞広告などあらゆる場所に使われ、アウターブランディングとしても活用されています。