プロジェクトの背景

2024年に創業150周年を迎える三井金属鉱業株式会社。
現在の先行きが不透明で将来の予想が困難な時代において、企業には常に変化に対して柔軟かつ迅速に対応することが求められています。同社はこの変化の激しい時代の中で「ブレない軸」を持つことが必要と考え、自分たちの事業や今後の在り方を見つめ直し、成長し続けるための判断軸となるパーパスの策定プロジェクトを開始しました。
策定されたパーパスへのアドバイザリー支援から、揚羽はプロジェクトに参画し、策定したパーパスを社内外に浸透させていくための計画立案と実行を支援させていただいています。

プランニング

■パーパスのアドバイザリーとビジョンの策定
パーパスのフレーズについて、弊社のコピーライター同席のもと、経営層とプロジェクトメンバーでワークショップを実施。また、並行して、パーパスを基軸とした2030年のありたい姿(ビジョン)の言語化についても、経営層へのインタビューとプロジェクトメンバーとのワークショップを通し支援させていただきました。

■パーパスの浸透施策検討
パーパスの社内浸透には、浸透施策を検討するプロセス段階から社員が参画することが有効です。部署横断型で有志の社員を集めたタスクフォースチームを組成し、4か月にわたり毎週ミーティングを実施。それぞれの現場の社員が納得できる浸透施策を検討していきました。
その際、社員に対してどのタイミングでどのような施策を実施するかを整理する「エンプロイージャーニーマップ」と、顧客に対して同様に施策を整理する「カスタマージャーニーマップ」を用いることで、効果的な浸透施策の計画につなげました。

検討を重ねた結果、
(1)パーパスを視覚的に認知させるビジュアル
(2)パーパスに込めた想いをストーリーで伝えるための映像
(3)パーパスを双方向で理解を促す仕組みづくり
の大きく3つの施策の骨子が固まり、実施フェーズへと移りました。

■パーパスの浸透施策の実施
検討フェーズで骨子を固めたそれぞれの施策について、並行して6か月にわたり制作、実装していきました。

(1)パーパスのビジュアル化
パーパスの言葉に込められた意図を一目で認識できるイラストを制作。ポスターやパワーポイント資料などのあらゆるツールに統一して落とし込むことで、一貫性を持たせるとともに、認知向上につなげています。

三井金属工業 パーパスとは

(2)パーパスのストーリー映像
理念やパーパスは、言葉やビジュアルだけでなく、ストーリーとして伝えることで、より認知・理解が促進します。ここでは、プロジェクトメンバーに揚羽の映像ディレクターを交え、実写とアニメーション、どちらの方が効果的かといった点から検討していきました。

三井金属工業 パーパス 映像

(3)パーパスの双方向施策
パーパスを浸透させるためには、一方向的なコミュニケーションだけでなく、トップ・経営層と社員、社内と社外といった、双方向で理解し合うプラットフォームが必要です。そのため、同社のパーパスと、パーパスにもとづいた取り組みなどを掲載したパーパススペシャルサイトを作成。また、社員がパーパスを自分事として捉えるために、マイパーパスを作成する研修を実施。2つの軸で双方向施策を実施しました。
マイパーパスを作成するパーパス研修で、それぞれの社員が作ったマイパーパスをパーパススペシャルサイトへ掲載し、社外へも発信。パーパスを言葉として掲げるのではなく、社員一人ひとりが自分ごととして受け止めていることを、広く社会に伝えています。

■その他社内外への浸透施策
社外への認知向上施策として、パーパスのビジュアルを駅や空港などの交通広告として掲載。パーパスのストーリー映像は同社のエントランスでの公開や、2023年には関東・九州地区でテレビCMとして放映しました。

アウトプット

■ビジュアル
すべてのツールに落とし込まれているビジュアルは、「探索精神」と「多様な技術の融合」の二つの強み、DNAで「地球を笑顔にする」ことを表現するため、両手をモチーフにした表現。また、両手で包み込んでいる地球は、同社が提供する未来を表しています。さらに、イラストの配置で地球自体が笑顔に見えるという工夫を施しています。

三井金属工業 パーパス サイト

■ストーリー映像
全編アニメーションの映像にすることで、老若男女に受け入れられやすく、海外拠点への展開も想定していたのでダイバーシティを意識しました。画面中央に向かって進み、一気に引くというカメラワークで映像に入り込めるようなアニメーションを施しました。動物などの細かいパーツを効果音と細かく連動させることで、その世界の一部に感じられるようなイメージを形成しています。

パーパス ストーリー映像

■パーパススペシャルサイト
マイパーパス研修と連動させた双方向施策・プラットフォームとしてパーパススペシャルサイトをオープン。研修で策定したマイパーパスをスペシャルサイト内で掲載し、マイパーパスを考えるだけで終わらせず外部へ発信することで、企業としての先進性と採用活動へ寄与するコンテンツとして機能させています。
パーパススペシャルサイトにもキービジュアルを採用し、地球のモチーフが動くような仕掛けを施すことで視覚的なユニークさも演出しています。

同サイトは一般社団法人日本BtoB広告協会主催 第44回「2023日本BtoB広告賞」ウェブサイト<企業PR>の部において銀賞を受賞いたしました。
さらに、同社は、一般社団法人サステナビリティコミュニケーション協会「サステナビリティサイト・アワード2023」においてゴールドを受賞されています。

三井金属工業 マイパーパス

今後の展望

パーパスの浸透施策について、同社のコーポレートコミュニケーション部、人事部、経営企画部と定例ミーティングを引き続き実施しています。パーパスビジュアルの多言語化、パーパス研修の導入に閲覧いただく対談映像制作などさまざまな施策が進行中です。
また、同社の150周年施策についても進行中であり、周年企画を「パーパス浸透を加速させるための施策」と位置づけ、パーパスの認知・理解に向けた取り組みを実施しています。

パーパス ポスター