ブランド戦略について教えてください。

2018年3月に当社のブランド戦略は始まりました。お客様からのKFCへの認知は十分にあると自負していましたが、当時の業績は横ばい。ご来店いただくお客様も増えているとは言いにくい状況でした。

我々はお客様へKFCブランドを発信する前に、まずはKFCファミリー(本部の職員、店舗で働く従業員)が一丸となって「KFCブランド」とは何であるかを再確認し、それを体現していくための行動を促すことが必要だと考えました。

実は今までもインナーブランディングに取り組んではいたのですが、なかなか浸透しませんでした。今回は、個々人の行動を通じて「KFCブランド」を発信していく取り組みにしたいと考えていたため、 「KFCブランド」の行動指針を具体化するまでに至りました。

具体的にどのような取り組みを行いましたか?

まずは、社内で「KFCブランド」とは何か、原点とは何かについて何度も議論を重ね、ブランドの原点と現状のギャップを埋めていくことを「原点回帰」として具体的な行動に落とし込みました。2019年はブランドの再認識期間として、ブランドブックとムービーを制作。揚羽さんと作ったムービーは社内のイントラネットに掲載し、誰でもいつでも見ることができるようにしました。さらに、具体的な行動目標に落とし込み、月ごとに掲載したカレンダーを各店舗に配布しました。

2020年は50周年を迎える年でしたので、さらにブランド戦略を加速させ、推進していく予定でしたが、新型コロナウイルスの流行で計画は全て中止に。店舗の皆様が店舗運営を懸命に続けてくれている中、本社メンバーに何かできることはないかとみんなで考え、全店舗に手書きのメッセージカードや応援ムービーを送る等のエール活動を行いました。想定外の状況下ではありましたが、このように自発的な行動が速やかに実行され、且つブランド活動を継続できたのはこれまでの施策によって浸透していたからだと思います。

揚羽に依頼する決め手は何だったのでしょうか?

我々と同じ温度感で当社のブランディングに向き合ってくださったことが決め手です。先述の通り、以前からインナーブランディングは試みていましたが、もっとブランドの浸透に特化したものを制作したいと思っていました。様々な会社さんにお声掛けしたのですが、当社のブランディングを深く理解し、具体化的な企画案を出してくださったのは揚羽さんだけでした。「分かり合えた」という感覚を持つことができ、非常に嬉しかったですね。
それから何といっても印象に残るのは、営業の方の熱意でした。企画のプレゼンテーションでは、開口一番「僕がケンタッキーを大好きな理由」を語り始めてくださった時には、素敵なご提案にその場がざわついたことを今でも覚えています。


ブランディングの手ごたえや反響はいかがでしたか?

揚羽さんに制作頂いたブランドムービーや50周年記念ムービーは、新人アルバイトの初期研修、店舗従業員の年次研修、そして店長会議などの人が集まる場で見てもらうことで、ブランドの浸透・再認識に活用しています。アンケートでは非常に好評です。

長年働いている方々は、過去の写真や映像が盛り込まれていることで「自分たちがもっと頑張ろう」と改めて奮い立たされるとのことでした。「KFCブランド」への一人ひとりの愛着は確実に高まってきており、お客様へのサービスや商品への情熱に反映されていると実感しています。

また、お客様にはレシートを介してアンケートを実施しているのですが、サービスや商品の品質への満足度が目に見えて上昇しています。我々は中期経営計画においても、QSC×H(クオリティ、サービス、クリンリネス×ホスピタリティ)を数値化しており、商品の品質は今回、目標数値を達成しました。

このような時世においてもお客様に支持していただけるブランドになっているということは、とてもありがたいことですし、誇りに思っています。社会、地域になくてはならない存在になれるよう、これからも従業員一人ひとりが「KFCブランド」を体現していけるよう、ブランド活動に取り組んでいきます。