プロジェクトの背景

イプシロンロケットは、2023年度以降にJAXAから民間移管されることとなっており、同社は商業衛星もターゲットとして、打上げサービス事業を展開していきます。これまですべての打上げに成功するなど信頼性が高い一方で、主に公官庁や学術機関向け衛星の打上げが中心であったことから、他の国内外ロケットと比較して認知度が低いという課題をお持ちでした。また、同社のお客さまがロケットを選定する際には、ロケット自体の魅力や機能の比較はもちろん、「どんな場所から打ち上げるか」も重要な要素となり、発射場のある町の認知も同時に高める必要がありました。

そこで打上げサービスのターゲットである、新しい宇宙ビジネスに挑戦する関係者に向けたブランドムービー制作プロジェクトが始動。イプシロンロケットの認知度を高めること、そして、発射場のある日本、さらには鹿児島県肝付町の魅力を伝えることが重要なポイントでした。

揚羽はすでにイプシロンロケット打上げ輸送サービスのWebサイトとパンフレットの制作を支援しており、そこでのご縁により、ブランドムービー制作でもご指名をいただきました。

IHIエアロスペース様Webサイトの事例紹介はこちら

プランニング

今回のブランドムービーの目的として、以下の3点を設定。
まずは、期待感を醸成すること。宇宙へと飛び立つイプシロンロケットのワクワク感や、宇宙ビジネスに対するロマンを表現することを重視しました。疑似的に打上げとその先の夢の実現を体感できるような構成にすることで、「宇宙ビジネスを共に推進するパートナーとしてぜひ検討したい」と前向きな行動へとつなげます。
次に、ロケットの打上げが、地球規模の社会課題の解決につながることを、伝えること。ロケット打上げを通じて、人工衛星など宇宙を利用したさまざまな技術で、世界中の困難を解消し、より良い生活につながる未来を予感させます。
そして最後は、内之浦宇宙空間観測所(発射場)がある肝付町の活性化につながること。町の伝統や文化など魅力を発信し、訪れるモチベーションのひとつになるように。また、町の人々にも、発射場が地元の誇りとなるような表現を目指しました。

映像コンセプトは、「ドリームランチャー」に決定。宇宙ビジネスに挑む事業者、最先端技術に向き合う技術者、町の人々といった多くのステークホルダーの夢や想いをのせて飛び立つロケットを表現します。

ストーリーでは、主人公が幼いころに経験した災害や、今も進行する環境問題を、イプシロンロケットで打ち上げた人工衛星を活用することで解決し、美しい自然や環境を次世代に残すための決意していく様子を描きました。物語が進むにつれて、肝付町の人々や自然に触れあいながら、その想いをより強くしていきます。

また、ブランドムービー完成後は海外からのお客様の視聴、サービス受注を目指し、YouTubeにも掲載。SNSを活用し世界への波及を狙うコミュニケーション戦略において、重要なツールとなっています。ターゲットに設定した、新しい宇宙ビジネスに挑戦する事業経営者が自己投影できるよう、キャスティングも工夫しています。

プランニング
プランニング

アウトプット

実写とアニメーションをミックスしたシームレスなシーンが切り替わる演出によって、夢の実現を訴求。日本らしさをキャッチーに表現するとともに、躍動感をもたらします。
さらに「だるま」といった日本らしいオブジェクトを加えることで、「赤」が印象的な鮮やかな映像に仕上げています。また、地元の文化である流鏑馬や大樹のシーンを入れて、肝付町の魅力を伝えます。最先端技術であるロケットと、地域の伝統のコントラストは、ストーリー全体にダイナミックな展開を持たせます。
実写部分は4K24pのカメラを使用し、ドローンによる空撮もおこないました。肝付町の美しい海と空を、さまざまなアングルで撮影。画面にメリハリをつけ、飽きさせない工夫を行いました。

アウトプット
アウトプット
アウトプット
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