(資源・エネルギー)(社会インフラ)(産業機械)(航空・宇宙)の4つの事業分野を中心とする重工業メーカー、IHI様。IHIグループの中でも特に宇宙開発や航空機エンジン部品製造を行っているのが株式会社 IHI エアロスペースです。同社は、JAXAが開発した「イプシロンロケット」において、機体システムの設計・製造を担当していました。これまでイプシロンロケットは、主に官公庁や学術機関向けの人工衛星を打ち上げるロケットでしたが、今後は同社が主体となった「打上げ輸送サービス」により、拡大する小型衛星打上げ市場へ参入することとなりました。しかしながら、 イプシロンロケットは官需専用便という印象が強く、商業打上げサービスも対応することがあまり知られていないという課題がありました。
そこで、より多くの企業にイプシロンロケットによる打上げ輸送サービスの可能性を感じてもらい、問い合わせにつなげるため、ブランディングサイトを制作。BtoBの商材というところもあるため、 ターゲットを①:現場担当者(衛星などの設計者)②:選定者(事業や資金管理者)③:決裁者(CEO)の3つのレベルで想定。特にAの人たちが話題にしたくなるような表現を意識する一方で、情報としては①が②や③に対してイプシロンロケットのメリットが伝えやすいように、また、②や③が見たときでも事業へのメリットがわかるように表現しました。
メインコピーは、競合との差別化を明確にするため「比較的安価な費用で国家プロジェクトとしての技術レベルを持つのはイプシロンロケット」という特徴を押し出し、選定者や決裁者にダイレクトに魅力が伝わるように「描いた宇宙(ソラ)のビジネスを、容易に、そして確実に。」というコピーを作成。
デザインは、期待値を上げて未来を向いている感を意識し、細かくグリッドで分けながら、オーバーレイや乗算といったCSSの機能をふんだんに使ったレイアウトに。次世代に向かって提案していくサイトとなりました。
また「誰もがロケットを打ち上げられる時代にしたい」というブランドメッセージも込めつつ、話題にしたくなるような設計とするため、KVの「打上げ能力」「レイトアクセス 」「打上げ成功率」の円に、カーソルを載せるとアニメーションが走るギミックボタンも作成しました。
さらに、認知施策としてDM(パンフレット)を制作。
海外にも発送するため、言葉を介さずに伝わるコミュニケーション設計が必要でした。そこで、組み立てるとイプシロンロケットに搭載可能な最小サイズの衛星「キューブサット」と同じ10cm x 10cmのボックスになる、という仕様に。このサイズから搭載が可能だという体験を設計することで、読むよりも肌で感じてもらえるパンフレットを目指しました。
・競合との差別化を意識して「比較的安価な費用で国家プロジェクトとしての技術レベルを持つのはイプシロンロケット」という強みを押し出したコピーを作成。
・これまでのWebサイトにはあまり見られない、オーバーサイズのKVをデザインとして採用。明確なKVの切れ目を設けず、高さ1800pxくらいの大きなビジュアルイメージの上に情報を載せていくという世界観を貫き通すデザイン。
・人は「自分で気づいたものを誰かに言いたくなる」という習性を考え、目立たないボタンを押すと実はアニメーションが出てくるという隠しギミックをつけることで、話題にしたくなるようなWebサイト設計に。
・サービスサイトのデザイントーンに合わせたDMは、表面は1面でも成立するが、組み立てると宇宙が見えるデザインに。中面は、開くとぶち抜きの宇宙空間と太陽に照らされるイプシロンロケットという、実際に打上げた後の世界観を疑似体験してもらう仕掛けになっています。
・DMのQRのコード内にはロケットのイラストをあしらうなど、世界観を作るディテールも。盛り込む情報を絞り、ノンバーバルコミュニケーションを意識したデザインです。




