第一三共 揚羽 対談

写真左から:
第一三共株式会社 人事部 人材開発グループ 主査 鶴岡忍さま
第一三共株式会社 人事部 人材開発グループ 主任 中村純子さま
第一三共株式会社 人事部 GHR企画グループ 主査 渡辺淳弘さま
株式会社揚羽 ブランドマーケティング第1部 ブランドマーケティング1グループ 大木優美
株式会社揚羽 制作プロデューサー1グループ 宇波 大地
株式会社揚羽 執行役員 ブランドマーケティング第1部 部長 佐々木翔一
※2024年7月取材当時

インターナショナルカンパニーからグローバルカンパニーへ

— 今回のプロジェクトについて、弊社にご相談いただいた背景をお聞かせください。

第一三共 鶴岡さま:
長年取り組んできたADC技術の確立に成功したことで、第一三共は治療領域がオンコロジー(腫瘍)にシフトするなかで、真のグローバルカンパニーを目指してカルチャーを全世界で醸成することを決めました。
日本から世界各地へと情報を発信していくだけではなく、今後は世界の各拠点が網の目のようにつながり、リアルタイムでつながっていかなくてはなりません。インターナショナルカンパニーからマルチナショナルカンパニーへの変身です。その際、コミュニケーションのツールやクオリティの見直しが必須ではないかと考えました。

第一三共 渡辺さま:
カルチャーなどの目に見えないものを醸成・浸透させるには、「ストーリーテリング」という手法が有用であるとされています。私たちもこの手法を活用し、リーダーの皆さまにストーリーテリングを実施していただきましたが、当初はスマホで自撮りした動画を発信していました。一方で、果たしてそれで十分なのか、クオリティとして物足りないのではないかという声も上がっていました。

第一三共 鶴岡さま: 
しかし、我々はブランディングやクリエイティブに関しては素人ですから、相手に共感を与えるコンテンツを創るだけのスキルはありません。外部のパートナーが必要です。そこで頼れるパートナーの選定を始めたところ、揚羽さんと出会いました。

第一三共 カルチャー 醸成

第一三共 渡辺さま: 
きっかけは当社の採用担当者からの紹介です。「コミュニケーション支援のクオリティが非常に高く、社内浸透活動のパートナーにふさわしいのではないか」とのことでしたので興味を持ち、ぜひ一度お目にかかって話を聞いてみたいと考えました。

揚羽 大木: 
初めてご連絡をいただいたときは、営業担当として非常に嬉しかったです。

揚羽 佐々木: 
その後、私と大木が第一三共さまを訪問し、最初の面談の機会を持たせていただきました。弊社はインナーブランディングの領域でも多くの実績を重ねてきましたので、そのご紹介と、どのようなご支援が可能か、お話しさせていただきました。
実は私は、入社2年目に第一三共さまの採用ツール制作のお手伝いをさせていただいた経験があり、今回改めてご支援の機会をいただいたことに深いご縁のようなものを感じました。当時、まだ治験段階だったADCが世界的に高く評価されたことが今回のプロジェクトのきっかけになったと伺って、感慨深いものがありました。新人時代に肌感覚で感じた第一三共さまらしさを、このプロジェクトを通じてうまく言語化できたらと、ワクワクしたものでした。

揚羽 インナーブランディング 第一三共

「わかってくれている」という安心感が信頼につながる

第一三共 渡辺さま: 
佐々木さん、大木さんにご来社いただき、GCIの背景や進捗についてお話をさせていただく中、今も印象に残っていることがあります。
グローバルカンパニーとしてOne DS Cultureを全世界で醸成させていくために、我々は三共株式会社初代社長の高峰譲吉の想いをDNAとして伝えることが重要ではないかと考えました。その点について佐々木さんから「過去から現在に受け継がれてきたという視点も大切ですが、未来を形作っていく上でもDNAは必要ではないか」とご提案いただいたのです。なるほど、その視点はなかったと、鶴岡と2人で盛り上がったことを覚えています。

第一三共 鶴岡さま:
ああ、そうでした。すっかり忘れていました。佐々木さんがご提案してくださったのに、自分で考えたつもりになっていました。それほど自然に、我々の中にしっくりきたご提案だったということだと思います。

揚羽 佐々木:
とても嬉しいお言葉です。

第一三共 渡辺さま:
世界各地のリーダーにプレゼンテーションする際も、「DNAは将来を拓いていくためにも大切なのだ」と使わせていただいています。

第一三共 グローバル 文化 浸透

揚羽 佐々木:
私自身、数多くの企業さまにご提案させていただく際、どんな将来を目指すかという視点を非常に大切にしており、それはその企業さまならではのDNAの延長線上にあると信じています。そうした想いから、お話しさせていただきました。

第一三共 鶴岡さま:
DNAは、日本橋や品川にある当社のアセットの中に眠っているわけです。それを発掘する際、佐々木さんのように当社の歴史やカルチャーを十分にご存じの方が一緒にいてくれるというのは大きな安心感につながりました。改めて説明しなくてもわかってくれている、ナレッジを持っていらっしゃるというのは、揚羽さんにご依頼する上での一つのポイントでした。

第一三共 中村さま:
私は2023年の4月にこのプロジェクトに参画しましたので、どのような経緯で揚羽さんにご依頼することになったか、今回初めて知りました。弊社のことをよくわかってくれているという安心感から生まれた信頼感が、あったのですね。

グローバルで成果をつくりあげる

揚羽 宇波:
私も中村さまと同じタイミングでプロジェクトに参画し、浸透ツールをいくつか制作させていただきました。

第一三共 中村さま:
アウトプットとして印象深いのは、いつでも持ち歩ける理念カードの「Credo Card」と、全社員向けの理念解説ブック「One DS Book」です。いずれも英語版と日本語版を制作しました。これらの制作に際して一番の壁となったのが、何のためにこれを作るのかを、グローバルチームで理解・共有することでした。5拠点のメンバーがオンラインで一堂に会して議論を進める中、アメリカはこう考える、ヨーロッパではこうだと、様々な意見が出てくるわけです。

第一三共 インナーブランディング

揚羽 佐々木:
ミーティングには私たちも参加し、各拠点のご意見をいったん集約させていただきました。それを中村さまに内容をご確認いただいた上で、次回のグローバルミーティングにフィードバックするということを繰り返しました。

第一三共 中村さま:
多様な意見を取り込み、同意を取り付けながら、具体的なカタチに落とし込んでいく過程はすごく大変でしたね。

揚羽 佐々木:
我々にとっても非常に良い経験になりました。会話はすべて英語で行われましたが、私たちは英語がネイティブではありません。そこで外部の専門家の協力を仰ぎながら取り組んだわけですが、この1年を経て、今では外部のサポートがなくてもグローバルなミーティングに参画できる自信がつきました。
その意味で、とてもいいチャンスをいただいたと感謝しています。

第一三共 鶴岡さま:
英語でのファシリテーションについては、確かに当初から課題だと感じていました。そこで英語と日本語のバイリンガルで、デザインの知見もお持ちだという外部のエキスパートに入っていただくご提案は、ありがたかったです。
現在、このグローバルチームは非常に連携の取れたいいチームになっているのですが、当時は何も成果物がない状態での進行でしたので、難しかったですね。そんな中で一つの成果物が出来上がると、全員がものすごく感動し、まるで自分たちの子供が生まれたかのような喜び方をするのです。その温度感はリモート会議でも十分伝わってきました。
ものづくりをしながら、チームビルディングもできたと思います。

■Credo Card

クレドカード 第一三共

■One DS Book

第一三共 中村さま:
海外拠点からの日本に出向している社員のインタビュー動画の制作も印象に残っています。

揚羽 宇波:
海外の方のインタビュー動画の制作は、それまでほとんど経験がなく、私にとってもチャレンジでした。これは弊社ならではの取り組み方だと思うのですが、インタビュー前には事前にヒアリングシートをお送りして、回答を記入していただく方法を採っています。
今回、この進め方が功を奏したと思っています。日本の方は多少曖昧なところがあっても進められるのですが、海外の方は本当に納得してからでないと前に進みません。逆に一度納得していただけると、非常に協力的で、実にスムーズに進んでいきます。事前にヒアリングシートにご記入いただくのは手間をおかけすることになったのですが、このひと手間が重要だったと思っています。

揚羽 浸透 支援

第一三共 鶴岡さま:
揚羽さんはさすがにプロだなと感じたのが、初代社長の高峰譲吉のストーリー映像を制作したときでした。当初、高峰譲吉に関する資料や素材は豊富にあると想定していたのですが、実際に調べてみるとほとんど残っていなかった。これは困ったとなった時、揚羽さんのご提案でかつての品川工場、現在の品川研究開発センターに行き、古文書のようなものを見つけ出して、カメラに収めたのです。
我々素人からすると、これが本当に動画になるのかと心配だったのですが、非常にうまく感動的な動画として仕上げてくれました。海外のメンバーもこれを見て「グレートだ!」と驚いていました。

■ヒストリー映像

ストーリー 映像 第一三共
ストーリー映像 第一三共

第一三共 渡辺さま:
揚羽さんの動画制作のクオリティは本当に素晴らしいですよね。

第一三共 中村さま:
2024年は、引き続きストーリーテリングの映像を制作中です。当社が大切にする価値観を世界中で体現できていることを映像にしたいと考えており、揚羽さんには引き続きお力添えをお願いします。「Credo Card」「One DS Book」同様、なぜこの動画が必要なのかという理解が最も重要ですので、時間をかけて取り組んでいく考えです。

コンテンツがゴールではなく、企業の成長こそがミッション

揚羽 大木:
冒頭、佐々木が「第一三共らしさを言語化する」ということを話しましたが、想いを言語化し、映像化するという点については、弊社ならではの力が発揮できていると感じます。

揚羽 第一三共 対談

揚羽 宇波:
他のお客さまから、弊社らしさとは“寄り添う力”というお声もいただきます。適切なタイミングで最適な提案をさせていただきながら、クライアントの声に耳を傾け、「本当にお困りのことはこれではないですか」とお伝えできたらと考えています。

第一三共 中村さま:
まさしく“寄り添う力”は揚羽さんの一番の魅力ですね。宇波さんとは電話でもすり合わせをタイムリーにさせていただくのですが、お話の中で常に私たちのニーズを引き出そうとしてくれているのを感じます。そして私が曖昧な形でイメージを伝えても、「こういうものではないですか」とカタチにして見せてくれますし、満足できるまで何度でも提案してくださいます。

揚羽 佐々木:
我々は成果物としてコンテンツを制作していますが、決してそれがゴールとは考えていません。そのコンテンツによって社員の皆さんの行動が変わり、それによって会社がさらに発展していくことがゴールだと思っています。そのスタンスがぶれないことが、一番の弊社らしさではないでしょうか。

第一三共 渡辺さま:
常に我々のニーズに即したご提案をいただいていることに、感謝しています。我々自身でも気づいていないニーズを顕在化してくれ、その先の行動を促してくださるよう、今後も期待しています。

第一三共 中村さま:
チャレンジする姿勢も揚羽さんの魅力ですね。今までの事例がない中で積極的にグローバルミーティングに参加してくださったことは好例で、経験したことがないからこそやってみようという姿は、すごく素敵です。

第一三共 鶴岡さま:
ゼロからものを創り出すのは簡単ではなく、うまくいかないこともたくさんありますし、厳しいことを口にすることも少なくありません。揚羽さんはそこで立ち止まるのではなく、さらに一歩踏み出そうとする姿勢があり、だからこそ我々も一緒になってよりよいものづくりを進めたいと考えています。
ぜひ引き続き素晴らしいパートナーシップに期待したいと思います。

弊社はブランド共創パートナーとして、理念・行動指針の策定から浸透活動まで一気通貫で伴走いたします。ぜひお気軽にご相談ください。