採用オンラインセミナー:データを活用した学生理解の勧め~理系採用 基本のキ~

皆様、こんにちは。営業部の石田です。

 

さて、先日7月21日(水)に株式会社POLのアカウントマネージャーである母袋様をお呼びし、「データを活用した学生理解の勧め~理系採用 基本のキ~」と題したセミナーを開催いたしました。

 

本セミナーでは、
・理系学生定量データ
・今データ活用が重要になる意味
・データ活用で理系採用の効果を高める方法
を解説いたしました。

 

第一部


スピーカー:母袋 雄也
株式会社POL
アカウントマネージャー

第一部講演内容
●採用活動におけるデータ活用の意義
●広く知る-学生動向-
・年間の就活スケジュール
・エントリー状況/内定状況
・現場社員との接点づくりの重要性
●深く知る
・自社に関する仮説検証
・答えは学生のみぞ知る

 

採用活動におけるデータ活用の意義

今回のセミナーはデータ活用がテーマとなります。まずは、なぜデータ活用が必要なのかというお話をいたします。

 

理系採用のお困りごとでよく聞く課題に以下の2つが挙げられます。
①母集団形成ができない
②魅力付けができない

 

実はこれらの2つの課題の裏にはもう1つ課題が存在します。それは「理系学生を理解できていない」ということです。ここの理解がずれていると、この後に打つ施策も全てずれてしまいます。

 

 

そこで今回は、「理系学生の理解」を深めるためにデータを活用する方法をご紹介します。データ活用を、「広く知る」「深く知る」の2つのパートに分けてお話しました。

 

 

広く知る-学生動向-

・年間の就活スケジュール
・エントリー状況/内定状況
・現場社員との接点づくりの重要性

 

まずは「広く知る」です。広く知るとは、具体的には学生の動向を知ることです。市況観をマクロなデータを活用することで採用市場全体の把握をし、その中で自社の活動が全体と大きくずれていないかを知ることを指します。

 

はじめに、22卒採用市場の1年間を振り返ってみましょう。この1年は、かなり大きな変化があったと思います。
・コロナウイルスの影響でインターンシップがオンライン化。(企業によっては開催できない場合も)
・最終選考の手前で緊急事態宣言が発令され、オンラインか対面かを迫られる。

 

このようなことは、23卒採用でも起きることが予想されます。そのため、22卒採用の1年間をしっかり振り返ったうえで23卒の対策を行うことが重要です。

 

では、理系学生のスケジュールを見ていきましょう。基本的に理系学生は夏と春に学会発表があり、それらに向けて研究を進めています。

 

 

そのため、こういったスケジュールを考慮した採用スケジュールを組む必要がありますが、一方で学生対象のアンケートから、必ずしもこの通りに動いていないケースもあることがわかりました。株式会社POLでは、5月に22卒の理系学生を対象として就活に関するアンケートを実施いたしました。本日はこのデータを紹介し、今の理系学生の就活についてお伝えしていきます。

 

 

まず、就活を始めた時期です。22卒は、6月の時点で6割が就活をスタートしています。株式会社POLが提供するサービス(LabBase)への登録時期も2年連続で早まっており、この就活開始のタイミングは年々早期化しています。そこで、この早期化の背景を捉えることが大事だと考えています。「就活開始予定とのギャップ」というアンケートでは、就活開始予定の時期が想定より早まったという学生が34%程見られます。

 

なぜこのように早めの動き出しをする学生が多かったのかというところで、「5月時点で就活に関して行ったこと」というアンケート結果からは、5月にはすでに行動している人が多いということが分かってきます。そのうち94%は就職サイトの登録をしていて、55%がインターンシップを探していたということです。

 

次に、専攻別にインターンシップに向けた取り組みを比較してみたところ、情報系の学生が早く動くということはよく言われていますが、他の専攻の方も早くから動いていることが分かりました。このように早期から行動しようとする背景には、不安が大きいと考えられます。アンケート結果からは[不安][まあ不安]を足すと、9割が不安と答えています。

 

特に何が不安かという点については、「採用数の縮小や停止」が一番多く9割近くでした。

 

実際に、コロナ禍で志望する企業の傾向にも以下のような変化が起こっています。
・大手志向になった
・不況に強い企業を志望するようになった
・安定した企業を志望するようになった

 

恐らくこれは23卒も変わらないと考えられるため、一旦は23卒はこれらを前提に考えておくのがよさそうです。

 

業界を絞った時期については、修士1年の10月以降という声が多く見られました。

 

 

第一志望を決める時期については、12月以降に徐々に決めていくという傾向です。ピークは3月となっていますが、12月以前にもいくつか山が見られるため、早期から接触することが重要だと考えられます。

 

 

エントリーした社数について見ていくと、情報収集の流れとはギャップがあります。
いざエントリーをするというタイミングでは、数を絞ってエントリーをしているようです。アンケート結果では、エントリー6社以内の学生が4割を占めています。

 

文系の学生であれば20社~30社エントリーすることが見込まれますが、理系学生についてはかなり絞ってエントリーをしていることがわかりました。

 

 

では、こちらのエントリー数を専攻別で見ていきます。情報系、機械系、電気・電子系では、就職先や推薦が比較的多くある学生は9社以内のエントリーであることが分かります。しかし、化学についてはエントリー数のばらつきが大きくなってきます。さらに、生物・農系、薬学系、医学系では比較的推薦が少ないということもあるため、30社以上エントリーする学生が多いようです。

 

 

このように、各社が欲している学生がどの層の学生かにより、アプローチが変わるのです。さらに面接を受けた社数を見ていくと、6社以内の学生が6割まで増加しています。

 

 

面接までいくと、生物・農系の学生もかなり絞り込んでいることが分かります。ある人事担当者からは、今年は途中辞退が多かったと聞いています。それは、このようにエントリー時点で大きく絞り、面接の段階でさらに絞っていたことが要因だと考えられます。

 

 

このような採用の形の中ですが、内定を所持している学生は5月の段階で8割以上です。複数内定というパターンもかなり多いようです。

 

 

理系学生のスケジュールから見える採用計画のポイントは2つあります。1つは、6月までに年間設計をし、6月前には施策を走らせるのが良さそうだということです。2つめとしては、12月までには学生への魅力付けを進めた方が良いということです。これは1月で志望業界がほぼ定まっていることやそもそものエントリー数が6社以内の傾向が強いためです。

 

 

今後、インターンシップや内定フォロー施策を検討していく企業様も多いと思います。「就職活動やインターンシップで嬉しいと感じること」に対する回答からは、現場の社員と話せるかどうかが非常に重要だという結果が得られました。特に現場の研究者、技術者と話せる機会を嬉しいと感じる学生が多いようです。

 

 

また、社員との関わりが志望度にどんな影響を与えるかというアンケートでは、志望度が高まったという意見が60%以上を占めていました。志望度が下がったという意見は0.4%に留まりました。積極的にリクルーターや現場社員との関わりをつくっていくことが有効であると考えられます。

 

 

一方、ここで気を付けた方がいいことは、誰をどのタイミングでアサインするかです。「参加した内定者向けフォローのうち、入社意欲が高まったのはどれですか?」という設問に対しては、懇親会という回答が多く見られます。しかし、その中でも若手社員や内定者との懇親会が多いのに対して、管理職や経営者との懇親会は少なくなっています。そのため、内定承諾前のタイミングでは、自分が活躍できそうか、なじめそうかということを意識している学生が多いことから、若手社員や内定者との接点を作っていくのが理想と言えます。

 

 

ここまでのサマリーです。
【就活スケジュール】
・修士1年4月から就活を意識し始める学生が多く、10月から志望業界、12月から志望企業を絞り始める傾向にある
・学生1人あたりのエントリー社数(6社以内4割)・内定社数(6社以内6割)は少ない
【学生が求める体験】
・学生の入社意欲を高めるために技術系社員との関わりは欠かせない
選考~内定まで  :若手~管理職までバランスよく
内定~内定承諾まで:特に若手
・インターンシップは学生との接点作りに有効
何らかのインターンに参加:9割
内定先のインターンに参加:4割

 

ここまででインターンシップについては触れていませんが、サマリーの通り接点作りに有効な手段となっているため、夏に開催できなかった場合でも、秋冬で開催すると良いと考えられます。

 

深く知る

・自社に関する仮説検証
・答えは学生のみぞ知る

 

ここからは「深く知る」というお話です。ここからは採用市場ではなく自社に目を向けて考えます。自社のどういったところがターゲット学生に刺さるのかを深く知ることが重要です。

 

今回のセミナーのテーマは理解採用におけるデータ活用ですが、まず、これらを考える上で「広く知る」「深く知る」ことがどのように活かせるのかということを常に念頭に置いていただきたいと思っています。

 

採用でお困りの企業様の多くは「ペルソナ不明確」の状態であることが多くあります。ペルソナ、ターゲット像がそもそも分かっていないケースが多いです。

 

まずは、ペルソナ学生の理解を進めていくところから始めていきましょう。ある程度どういった学生がターゲットなのか分かってくると、次は、ターゲット学生から認知を高めるためにはどうすればいいのかを考えていきます。そして最後に母集団を形成します。というような順番で考えていくと、うまくいくケースが多くあります。

 

 

最初の「ペルソナ理解」を進めるために、「広く知る」「深く知る」を実践していただくことをおすすめしています。ペルソナ理解のために調査した結果は言語化し、表に落とし込んでいくことで、面接官やリクルーターの間で共通認識を得ることができます。

 

具体的に「知る」ための手段について、今回は弊社が行っているフロー基づいて説明いたします。弊社で持っているLabBaseというデータベースから、定量・定性調査を行い、現状を正しく把握することが可能です。

 

過去には、例えば下記のようなパターンでの調査を行ってきました。
・研究職志望の学生動向と内定の決め手がわからない
・今までターゲットではなかった分野/専攻の自社へのイメージがわからない
・内定承諾率が低い理由がわからない
上記のような課題に対して、目的に応じて調査対象学生の数や層を変えるなどし調査を行っています。アウトプットとしては、企業志望度のランキングや企業のイメージを言語化するなどしています。

 

「深く知る」という点ではPOLは理系に特化しており、理系学生をより深く知ることができます。例えば、各企業が持っている技術のキーワードを実際学生がどれくらい気になっているのか、訴求が成功しているのか、などをデータとして出し分析することが可能です。他にも、学生が気になっている技術キーワードと第一志望の企業の技術キーワードを表に直し点数化することで、企業が強調すべきキーワードが見えてきます。

 

また、データベースとして研究室のデータベースも持っています。企業が自社にあった研究をしている研究室のリストを知りたいといった際にも、研究室をまとめたデータや関連性の数値化、論文資料も一度にご覧いただけるようになっています。

 

ここまでのサマリーです。
【ターゲット理解を深くする】
・自社の現状を正しく把握するために学生の声を聞く
・自社のポジティブ/ネガティブポイント、学生が魅力を感じる技術
【ターゲットを理解してから基本方針を検討する】
・理解が浅い上での施策は危険

 

第二部


スピーカー:白岩 大
株式会社揚羽
ブランド戦略グループ/プランナー
リクルーティング事業部責任者

 

●なぜデータが必要か
●何のデータが必要か
●どうデータを活用するのか+どうデータを収集するのか

 

なぜデータが必要なのか

理系分野についてはPOLさんが詳しくお話いただきましたので、弊社からはもっと広い範囲の話と実際何をしたらいいのかということをお話しました。

 

まず採用市場の市況観について、採用市場全体でエントリー数がかなり増えました。例えばインターンシップのエントリー数については、これまで2~3社が平均であったところ、22卒では5~6社に増えました。かつ、エントリーの動機もかなり薄くなってきています。志望度が低く、視野を広げることが目的のエントリーがかなり増加している状態です。その結果、例年通りの動機付けでは足りず、例年以上に志望度を醸成する必要が出てきています。

 

 

また、学生1人あたりの内定取得数も辞退数も、共に上昇傾向にあります。ここで問題となるのが、非ターゲット層が途中離脱しにくく終盤まで残るということです。

 

 

内定辞退が多くみられる中、一方で保留も多く見られます。この保留の理由の4割が「なんとなく保留している」ということがわかっています。学生からは、「内定を得たが実際に自分にあっているかわからない」「複数内定で優劣がつけがたい」という声が寄せられています。つまり、学生側も決め手になる情報を求めていることが分かります。逆に言えば、その決め手さえあれば内定を承諾する学生が多いのです。

 

 

ではなぜ学生は内定を決めきれないのでしょうか?その原因はオンライン化にあると考えられます。オンライン化が進むことによって学生が、企業の魅力を感じるタイミングが減っています。オフィスや工場を訪れた際に社員さんとすれ違ったときの雑談や雰囲気から感じ取っていたような動機付けがされなくなり、内定を決めきるための情報が不足していることが考えられます。

 

これらのことをまとめると、現在の採用活動では以下の4つの問題が起きていることが分かります。
・エントリー数UP
・内定辞退率UP
・なんとなく保留UP
・オンライン化の重要度UP
では、これらをどうやって解消していくのがよいのでしょうか?

 

採用VUCA時代

現在の採用市場は先行きが不透明で、将来の予測が困難な「採用VUCA時代」だと考えています。VUCAとは「先行きが不透明で、将来の予測が困難な状態」を言い表しますが、社会や経営だけでなく、採用にも多大な影響を与えていると言えます。

 

VUCAは、以下のように【未知、既知】、【予測不能、予測可能】の4象限で考えると分かりやすいです。
・曖昧【未知-予測不能】
物事の原因や因果関係が不明瞭であること
・複雑【未知-予測可能】
多くの要因が複雑に絡み合っていること
・不確実【既知-予測不能】
これからが予測できない
・変動【既知-予測可能】
変化の量や質、スピードが早い

 

採用に置き換えると以下のように捉えることができます。
・曖昧【未知-予測不能】
「エントリー数が爆発的に増えた」
・複雑【未知-予測可能】
「今AやBの現象が見えるので、おそらくCという現象も起きてくるだろう」
・不確実【既知-予測不能】
「オンライン化が続くのかどうか」
・変動【既知-予測可能】
「学生の志向性や就活の仕方はどのように変化しているのか」

 

 

結論、今回セミナーテーマであるデータ活用について、「曖昧」の部分をデータでクリアにすることがデータで考えるということだと考えています。それぞれの対応策については以下の4つの打ち手が考えられます。

 

・曖昧【データドリブン】
未知で予測不能なことに対して、曖昧なままにせずに、定量的なデータを用いて考えてより明確にしていきましょう。
・複雑【キャンディデートマップ】
学生の推移と志望度(心情)をリンクして考え、初期接点から内定までを設計しましょう。
・不確実【ベースドオンライン】
オンラインを基盤として、今後に備えてよりよいオンラインの環境を整えておきましょう。
・変動【アジャイルチェック】
年一回で振り返って改善するのではなく、一回のイベントごとに改善してきましょう。

 

 

今回のセミナーでは、データドリブンの部分のみ説明いたしました。その他の戦略については、今後アップするセミナーレポートにてご紹介いたしますので、ご期待ください。

 

データドリブン~何のデータが必要か~

重要なデータの1つ目は、フェーズごとの学生の「数」の推移です。各社様データを取られている部分かと思いますが、このデータの取り方にもポイントは2つあります。
1つ目のポイントはイベント参加後のフォロー活動についても測定をすることです。例えば、イベント開催後数か月放置する状態が続き離脱した、という状況もあるため、そこを明確にするためです。2つ目のポイントは、「予約・参加・合格」を分けて集計するということです。どこで離脱したのかが細かく分かると、離脱の理由が明確に見えてきたり、今後の施策を打ちやすくなったりします。

 

 

2つ目に重要なデータは、数だけでなく「志望度」を定量的にはかるということです。
【企業の魅力5分類】
・業界
・個社
・仕事
・報酬/スキル
・人/社風
また、これらの中には各5つの要素があり、計25の魅力の要素があります。

 

まずは、採用活動でどの魅力をどれだけ伝える必要があるかを把握し、どのタイミングでどれだけ伝えるのがいいのかを設計していくことで効率的な採用活動が実現します。企業毎のターゲット学生によって、入社意欲に直結する魅力は異なります。今後の施策としてポイントとなるのは、訴求すべき魅力の優先順位を付けて設計していくという点です。

 

 

下記図表の通り、25の魅力要素の数値が高まると、入社意欲も上がることがわかっています。また、弊社が年に1回学生に対して行っている志望度調査からは、22卒の学生については下記3点の魅力が上がると入社したいと思うという結果が出ています。
・健全な財務基盤を持つ企業である
・論理的思考力を活かせる仕事が得られる
・前例のないことに取り組む仕事が得られる

 

一方で、上記3つについては文理問わず全学生を対象にした結果であり、自社のターゲットにより近い学生に絞るほど、データの精度は高まります。

 

 

例えば、学群・性別・就活時期・文理・志向性で見ると下記図のようになります。理系学生については「前例のないことに取り組む仕事が得られる」などの項目が、特に入社意欲に強く関係していることがわかります。また、ターゲット学生の志向タイプ別でみたとき、スペシャリストタイプについては「魅力的な勤務地や職場環境が得られる」といった結果が出ており、スペシャリストタイプの学生を採用したい場合は、ここの魅力を強く伝えることが重要になります。

 

このように、より自社のターゲット像が細かいほど、伝えるべき魅力は明確になります。そのため、自社のターゲット学生への独自調査を行うことが理想的です。

 

 

データドリブン~どうデータを活用するか~

「どの段階でどの魅力をどれだけ上げる」という目標値を設定することで、時期毎に使用するPPT資料で伝えるべき内容や、WEBサイトで取り上げるべき内容が組み立てられます。

 

 

セミナー当日は、この後に実際の他社様の事例を用いて、各フェーズの広報施策をご紹介しました。事例詳細は、ページ下部の無料相談窓口よりお問合せください。

 

まとめ

●なぜデータが必要か
現状が不明瞭で、肌感の通用しない「曖昧」に対応するため
●どんなデータが必要か
数の推移+志望度の定量データ
●どうデータを活用するか
不足している志望度を採用広報で活用する
(採用サイト/採用映像/採用パンフレット/オンラインインターン)

 

 

以上、7月21日(水)開催オンラインセミナー~データを活用した学生理解の勧め 理系採用 基本のキ~のセミナーレポートでした。

 

セミナー内でご紹介した事例を知りたい方は、ぜひ下記よりご相談ください。

 

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今後もオンラインツールも活用しながら、皆さまのお悩みを解消できるようなセミナーを随時開催していきますのでご期待ください。