2025年3月18日(火)に、「パーパス浸透で、社風や従業員の行動は本当に変わるのか?」と題したセミナーを開催しました。株式会社揚羽 ブランディングコンサルタントの高野優也が登壇し、パーパスの役割や機能、おすすめの浸透施策などについて解説しました。

パーパスは行動を変える機能を備えている?役割と機能

結論として、パーパス浸透により社風や従業員の行動は変えられます。そのためには、パーパスの役割・機能を理解したうえで、適切な浸透施策を検討し、実行することが重要になります。

そもそも、パーパスとは、「企業の存在意義」のことです。その事業を「なぜやるのか」という根底であり、「自分たちが働く大きな目的」「企業が目指していく方向」とも言い換えられます。

パーパスと並ぶ企業の指針となるものに、「ビジョン」や「バリュー」もあります。ビジョンとは「企業が目指す姿」であり、「どこへ行くのか」の方向性を示すものです。バリューは「企業が大切にする価値観」であり、企業の存在意義や理想を実現するために「どうやるのか」に該当する部分です。

パーパスはこのビジョンとバリューの頂点に位置付けられるものであり、ビジョン・バリューを確立するための大指針ともいえます。

パーパスが社内に浸透すると、何が起こる?

パーパスが社内に浸透することで、社員の向き合う姿勢、発想、行動が変わります。

なぜなら、パーパスが浸透していることで、社員は企業が事業をやる目的や目指す方向性、大切にしている価値観を理解でき、体現する道筋が見えているからです。社員は企業が掲げる大きな目的に共感しているため、その目的を達成するためにどうすれば良いかを主体的に考えられるようになります。

さらに、その企業で事業に取り組むことに意義を感じており、モチベーションと誇りをもって仕事ができている状態でもあります。

参考記事:パーパスブランディングとは?注目される理由と効果、事例を解説

パーパスはどう浸透させる?

パーパスは、存在しているだけで自然に浸透するものではありません。そのため、以下4つのプロセスを通じて浸透させることが必要です。

  1. 認知
  2. 理解
  3. 共感
  4. 行動

共感・行動のフェーズに到達していると、パーパスが浸透した状態といえます。

しかし、「行動に結びつかない」という課題は多くの企業が抱えており、実際に揚羽にもこの点の相談が多い傾向にあります。その原因は、「共感の壁」である可能性が高いと考えられます。

パーパスに共感している状態=行動のイメージを持てている状態

パーパスの浸透に「共感」が重要であることがわかっても、具体的にどういった状態が共感なのかが理解できないと、必要なアクションも明確にするのが難しいでしょう。

パーパスに共感している状態とは、正解となる行動のイメージを自分なりに持てている状態です。大きな目的を達成するために、何が必要か、どう行動すればいいかを自分なりに理解し、実際に行動に落とし込めている状態とも言い換えられます。

パーパスを浸透させるには、まず「共感のフェーズ」でパーパスを行動イメージまで紐解き、共感の壁を打破することが必要です。

パーパス浸透施策の流れ

パーパスを浸透させるには「認知」「理解」「共感」「行動」の4つのフェーズに分けて、目的に合わせた施策を検討・実行していきます。

各フェーズで効果的な施策として、以下のようなものが挙げられます。

パーパスの共感に関する施策は、理解のフェーズから実行できます。共感を醸成するのは容易ではないため、理解のフェーズからアプローチしていくことで、共感以降のフェーズをスムーズに進められるようになります。

参考記事:パーパス浸透までの4STEPと取り組み事例を紹介

パーパスのおすすめ浸透施策

パーパスを浸透させるおすすめの施策として、以下が挙げられます。

  1. マイパーパスワークショップ
  2. パーパスサイト
  3. 行動事例BOOK
  4. 羅針盤

各施策について、詳しくご紹介します。

おすすめ浸透施策①マイパーパスワークショップ

マイパーパスワークショップは、パーパス浸透活動の「理解」フェーズでおすすめの浸透施策です。一人ひとりの企業のパーパスに向かうマインドを形成するため、以下のようなポイントからパーパスの共感を醸成していきます。

  • パーパスに紐づくエピソードの共有
  • マイパーパス、アクションを考える

マイパーパスワークショップでは、企業のパーパスを目指すうえで、自分なら「何をするか」を考えていきます。現在の姿と企業が目指す姿を把握し、目指す姿の実現のために一個人が何をできるかを考えることで、具体的な行動イメージを紐解けます。

揚羽が実施するマイパーパスワークショップでは、以下のようなワークシートを使用して、個々の考えを明文化しています。

おすすめ浸透施策②パーパスサイト

パーパスサイトは、自社・社員個々のパーパスをイラストやムービーでわかりやすく社外に発信する施策です。パーパスを社外に発信することは自分自身への宣言になり、発信したことを実現するという意識づけにもなります。近年、社員一人ひとりのパーパスを広告として発信する流れも増えています。

パーパスを明文化し、社外に発信することで企業の将来性や持続性をアピールすることにもつながり、人的資本経営の推進にも効果的です。

参考事例:三井金属鉱業株式会社様

おすすめ浸透施策③行動事例BOOK

行動事例BOOKは、シンプルにどんな行動をすれば良いかを伝えるコンテンツです。企業パーパスの実現に向けて、何をすればいいのかを自分で考えられても、それが正しい行動なのか自信が持てず、行動に移せない人がいる可能性もあるでしょう。自分の行動イメージを具体化するため、あるいは検討した行動が企業の方向性とズレていないかを確認するためのツールとして、行動BOOKが役立ちます。

行動事例BOOKでは、これから取るべき理想的なアクションをBefore/After形式で具体的な事例を紹介します。

おすすめ浸透施策④羅針盤

羅針盤は、行動事例をもっと細分化したコンテンツです。企業パーパスの実現に向けて必要な行動をより具体的に提示しているため、さらなる共感を醸成する役割があります。パーパス浸透のためにマイパーパスを策定しても、それだけでは具体的な行動にはつながりにくいでしょう。というのも、マイパーパスは具体的なアクションではないからです。

より具体的な行動がイメージできるほど、パーパスの浸透度も深まります。羅針盤はより細かい粒度で「どんなアクションを取ればいいか?」を紐解けるため、さらなる共感の醸成に有効です。

羅針盤は、揚羽でも実際に活用されています。当社では週明けの月曜の朝礼のなかに5分ほど羅針盤に触れる時間を設けています。このように、日常的かつ継続的に羅針盤に触れることも浸透方法の一つです。

参考記事:インナーブランディングの施策とは?具体例を紹介

パーパス浸透には行動の促進も不可欠

パーパス浸透活動を通して、どんなアクションを取ればいいかわかったとしても、必ずしも行動につながるわけではありません。実際に行動してもらうには、戦略的な促進が必要です。

「行動に結びつかない」という課題の原因は「共感の壁」だけでなく、「行動の動機がない」ことにも起因します。「行動のイメージはあるけど、やる気にならない」という心情の根底には、「やっても評価されない気がする」というモチベーションの壁があります。

この課題を解決し、行動を促進するには、評価が必要です。

参考記事:従業員向けの「インナーブランディング」によって、企業価値を最大化させる

行動を評価する仕組みとは

行動を評価する仕組みとして、ベストなのは人事評価との連携です。しかし、人事評価はすぐに変更するのが難しく、時間がかかることもあります。

そこで、手軽に導入できる評価の仕組みとして「パーパスアワード」が挙げられます。パーパスアワードとは、パーパスを体現できた人を表彰する評価の一環です。周年行事やキックオフMTGといった、節目を活用した表彰式が有効です。表彰されることで社員はやって意味があると感じられ、今後のさらなる行動のモチベーションにつながるでしょう。

また、イントラサイトにパーパスに則った行動ができた人を掲載するのも有効な施策です。全社に発信することも表彰の一環であり、他の社員への周知や理解にもつながります。こうした表彰・発信の輪が広がっていくことで、社内にパーパスが浸透していく仕組みが構築されていきます。

《お役立ち資料》理念の重要性と浸透活動のポイント


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