皆さま、こんにちは。揚羽のマーケティンググループです。

2024年7月16日(火)に、「企業変革に欠かせない「理念浸透」〜3社の実例から学ぶ組織強化の秘訣〜」と題したセミナーを開催しました。

企業・組織変革において重要な役割を果たす「理念浸透」に焦点を当て、音環境コンサルティングサービスの株式会社otonoha 代表取締役社長の稲畑氏と、人と組織のコンサルティングを手掛ける株式会社RECOMO 代表取締役社長 CEOのと橋本氏と、コーポレートブランディング支援を行う株式会社揚羽 ブランドコンサルティング部 部長の黒田が登壇し、3社それぞれの企業理念の確立と浸透方法についての考え方や取り組み内容について、トークセッション形式でご紹介しました。

本記事では、講演内容のサマリーをご紹介します。


稲畑 伸一郎 氏
株式会社otonoha
代表取締役社長

1999年 TOA株式会社入社。国内営業を約7年間担当後、企業間コラボレーションの特命担当となり、交通インフラ市場の新規開拓に従事。ソリューション系の営業部長、首都圏エリアの営業部長を担当しながら、point0の協創活動にも関与。2021年に新規事業創出を担うネクストビジネス推進室を立ち上げ、室長に就任。2023年4月に社内ベンチャー企業として株式会社otonohaを設立し、代表取締役社長に就任。


橋本 祐造 氏
株式会社RECOMO
代表取締役社長 CEO

早稲田大学卒業後、NHKに入局、営業職として従事。その後、人事コンサルティング会社を経て、GMOインターネット株式会社の人事として入社。以来、複数社で人事責任者として理念策定、全社の人事戦略の策定や実行体制の整備、企業の急拡大・急成長に携わる。2019年4月に、株式会社RECOMOを創業。「人の可能性・価値を最大に広げる社会を創ること」を理念に掲げる。

揚羽 黒田
黒田 天兵
株式会社揚羽
ブランドコンサルティング部 部長

入社以降、「日本ではたらく人を元気にしたい」という信念のもと、企業の理念そのものから見直すインナーブランディングの専門家として、大小を問わず多種多様な企業やスポーツ団体など、300を超える組織の理念策定とその浸透活動に携わる。
著書:『組織は「言葉」から変わる。ストーリーでわかるエンゲージメント入門』(朝日新聞出版)
YouTube:『サステナブル・プロセス』にて変革(SX)に取り組む企業との対談コンテンツを公開。

企業理念はなぜ必要なのか?

強くしなやかな組織であるための拠り所

橋本氏:
まずは大上段からいきたいと思います。よくあるケースでいうと、株主や社員から自社の理念を考えませんか?と言われる経営者や人事の方が、理念って本当に必要なんだっけ?と思われている状況。
稲畑さんは今まさに、企業理念が必要になってきたということですが、きっかけをお話しいただけますか?

稲畑氏:
実は私も、少し前までは、企業理念は本当に必要なのか?というタイプでした。

大事だと思うようになったきっかけは、TOA株式会社(以下「TOA」)でパラレルに仕事をしている中で、2019年に設立された株式会社point0に2021年にジョインして、ベンチャーとして携わっている中でのことでした。設立から4、5年経つと、成長の鈍化や、創業当時のメンバーのなかで暗黙知としてあった哲学的なものの風化を感じるようになり、どうやって伝えていけば良いかを考えるようになりました。どの企業でも、強くしなやかでありたいと考えられていると思いますが、それには社員一人ひとりが強くある必要があり、そのためには拠り所が必要だと感じたのです。

理念の重要性に気づいてからは、TOAの親会社のミッションやビジョンについて、改めてすっと腹落ちして、伝え方も変わってきたりして、私自身の価値観もすごく変わりました。

橋本氏:
面白いですね。確認ですが、親会社の理念が変わったということではないですよね?

稲畑氏:
はい、変わったわけではありません。もちろん前から共感していたのですが、より深く刺さったというか。一緒に働いているメンバーに、それをもっと伝えないといけないし、語らないといけないなと感じるきっかけになったのです。浸透という話もありますが、語ることがとにかく大事だと思いました。

橋本氏:
黒田さんにも話を伺いたいのですが、大学時代に哲学を専攻してたとのことで、そのあたりのお話も含めてお願いします。

企業理念とは想い、意思決定の軸

黒田:
まず、企業理念がなぜ必要なのかという点は、何のために会社があるのか、自分たちのビジネスは誰のためにやっているのか、というブレない判断軸が言語化がされていないと、人は集まらないし残ってもらえないからです。企業理念とは、想いであり、その想いを大切にすることでビジネスも成長する。他社との差別化の戦略など、ビジネス的な観点も入ってくると思っていて、それが一番凝縮されたものだと思っています。理念によって、仲間が集まり、人が出ていきにくくなり、さらに、想いを実現するために不足している部分として新しいビジネスを生む源泉にもなります。

もうひとつ、企業理念によって迅速な意思決定ができるようになるということもあります。特に、人数規模が大きい企業ほど、取締役や役員の人数も増えてさまざまな意見が出ると思いますが、企業理念に立ち返って素早くジャッジができるというのはとても大きいです。

哲学を勉強していたのは、就職活動の時期に、企業ってなんだろうと思ったのですよね。ビルなのか、社名なのか、人なのか、と考えた時に、企業の根本は企業理念なのではないか、もっとも的確にあらわすものが企業理念かもしれないと考えるようになりました。社会人になって、企業理念がない企業や、なんとなくつくって他と似たようなことを言っている企業が山ほどあることに気付いて、逆に言えば、きちんとした理念を作れば、私たちが役立てて、日本が元気になるのではないかと思うようになりました。

橋本氏:
そうですよね。そこで働く理由だったり、緊急時や危機的な状況下で乗り越える魂の礎、拠り所であったり、そういう意味でも必要なのかなと思います。

私が起業する前に勤めていた企業では、私がジョインしたのが30人目でしたが、2年半で230人まで一気に急拡大したのです。その時、50人を超えた辺りで社員から突然「最近社長と話していない」と言われはじめました。そして、100人になると「最近、何を考えているのか分からない」と、150人になると「ここ最近、顔見ていない」と。そして、200人になると、社長が入社してくる人に対して「橋本さん、あの方誰ですか」と。

その時に、会社ってなんだろうと思ったのですよね。社長なのか?でも、社長も残念ながら退任する時がきますし、人も入れ替わっていく。となったときに会社とは企業理念に立ち戻るのかと思いました。人数が少ない時は、社長がイコール企業理念なので企業理念は必要ないということもあるかもしれませんが。

それを踏まえて、次の問いに行きたいと思います。

企業規模の大小で違いはあるのか?

事業拡大に伴う変化

橋本氏:
企業規模の大小で違いはあるのか?ということです。

企業を立ち上げたばかりの頃は、とにかく営業をして売って来いという状況で、そのスピード感とか大変さについていける人だけ集まればいい、企業理念に時間とお金を使っている場合ではないというケースがひとつあると思います。一方で、Google社やMeta社のようなエクセレントカンパニーとなったグローバル企業は、創業1日目から企業理念を掲げていますし、実現している企業もあります。

黒田:
先ほどの橋本さんの話にあったように、恐らく30人くらいまでは、言語化していなくても社長の中に想いがあれば共有できると思います。よく、3の倍数で30、300、3000、毎に大きな壁があると言われていて、橋本さんが経験された、200人くらいになると、全然届いていないというようなことはありますよね。

逆に企業が大きくなるほど、ビジネスが多角化することもあり、小さいときは鋭いとがったコンセプトで良かったのが、企業理念が上に置かれて、あとは各事業部がそれぞれの区域でどう言語化するのかが大事になってきます。

橋本氏:
揚羽さんではちょうど昨年、パーパスを策定されたということですが、どう変えていったのですか?普段はお客さまに提案されていると思うのですが、自社の理念を見直すに至る過程はどのようなものだったのか気になっています。

黒田:
そもそも創業時には理念はなかったと思います。そこから人数が拡大していく中で最初に策定したのが、行動系の理念で、他社さんだとバリューやウェイと呼ばれるものですね。社長がこういう価値基準判断で動いているから、現場も同じような判断で動いてほしいというものが7つ程ありました。そして、一時はリーマンショックで経営が難しくなる状況もありましたが、もう一度拡大させようという時に、社長がなぜこの会社をつくったのか根本的に考えていたものを言語化しました。それが『未来の一歩を創り出す』という企業理念です。

そこから、時代に合わせてお客さまのニーズも変化し、私たちもできることが増えていき、次のステージにということで上場を目指すタイミングで、これまで『未来の一歩を創り出す』を社員一人ひとりが体現してきた中で、会社が拡大してきた部分の想いをパーパスにしました。

橋本氏:
なるほど。ぜひ、稲畑さんからも会社の大小で企業理念って考え方の違いがあるのかお話しいただけますか。

独自性と解釈の余地のバランス

稲畑氏:
私は、本質的には大小で違いはないだろうなと思いながらも、先ほど黒田さんの話がすごく腑に落ちました。当然ですが、大きい企業になればなるほどやっている事業領域も広くなるので、それをカバーしようと思うと、広い捉え方になりますよね。逆に、広い捉え方の理念があることで、新しい価値も生み出しやすいのかなとも思います。

TOAは「Smiles for the Public ー人々が笑顔になれる社会をつくるー」をミッションに掲げており、そこには「音」という言葉は一切出てこないのです。「スマイル」と「パブリック」がキーワードとしてある形ですが、結局はこれらを成し遂げるためであれば、今あるリソースを上手く使えるならなんでもいいよねという考え方ですね。そういう解釈を生みながら、しっかりとローカライズして価値を高めていく、ということで、いろいろビジネスの広がりも持てるというのは実感しています。

一方、point0でもotonohaでも最近ミッション、ビジョン、バリューを策定しましたが、今やっている事業からあまりにも飛躍しすぎる、尖りすぎると、伝わりにくいこともあるので、ある程度そこのバランスを考えながら設定しました。

もちろん社長の想いも大事だと思いますが、揚羽さんが今の理念を社員さんから意見を募ってつくられたという話もあり、ボトムアップでやっていくっていくことも大切だと感じています。ただ、その辺はあまり企業規模が大きくなってしまうと難しいのかなとか、企業規模によってつくりかたも特徴が出るのかなと思いました。

ビジネスコンセプトとしての企業理念

橋本氏:
すこし思い切った質問になるのですが、まったく共感できない理念ってあまりない気がしています。例えば、弊社のミッションは「人の可能性・価値を最大化する社会を創る」ですが、あまり否定する人はいないと思うのです。実際に、会社の求めている人は理念に共感し共鳴してる人だとすると、地球の人類の中でほとんどの人が当てはまるのではないですか、と言われたことがあって。とても鋭い質問だなと思ったのですが。

自分たちらしさをどういうところで出していけばいいのか、何かお考えはありますか?

黒田:
先程、企業理念とは「社員のために、働く仲間のために」みたいな言い方もしましたが、結局一番重要なのは、ビジネスコンセプトになっているかどうかだと思っています。やはりその想いが、ビジネスシーンでも他社さんから選ばれる根本的な理由になっているかが重要だと想います。企業規模に関わらず、ビジネスコンセプトでもあるし、みんなが働く理由にもなっている、というようなものを企業理念として置くべきだと想います。

確かに、橋本さんのおっしゃるミッションの抽象度は高いんですが、CHROという橋本さんご自身のご経験があって、人事領域に対して価値を提供していこうということですよね。人の可能性・価値を最大限に広げる社会を創るというのは、広がりがあって、価値の創り方は一人ひとりに任せるよという気持ちもあると思うので、素敵な理念だなと思っています。

橋本氏:
22、23歳頃の就職活動中に面接で「橋本君はいったい何のために社会人になるの?」みたいな質問を受けたときの答えが実はこれだったのです。その時から決めていて、この23年間で地球上でこの言葉を一番言ってきた自負があるくらい、この想いでやっているので。

稲畑氏:
そういう背景も含めて聞くと納得度が違ってきますよね。御社がやられている事業に橋本さんがずっと抱えてきた想いがあって、分かりやすく響いてきますね。

橋本氏:
先程の稲畑さんのお話しのように、同じ言葉なのに見方を変えたら、もしくは、自分が意識を変えたら全然違う言葉で見えた…みたいなことは本当にありますよね。

稲畑氏:
そうですね、いろいろな捉え方があってもいいと思います。理念に注釈をつけることも大事なのですが、つけすぎるとやはり偏った見方になりますよね。ある程度の自由を残しておいて可能性を広げるみたいなところに、最近すごく価値を感じています。

理念は作ったはいいが、広まっていない。何から手を付けたらいいか?誰がやったらいいか?

評価への反映

橋本氏:
次もよく伺う質問です。自社の理念をつくったり、お客さまの理念をつくったり、というのは、結構な労力と月日が必要ですよね。そして、頑張ってつくったのに、疲れてしまって広げられない…というような企業も結構あると思います。発表していないとか。では、何から手つけたらいいのか、誰がやったらいいのか、というところを3人で考えて行きたいと思います。

稲畑氏:
これも企業規模などによっても変わってくると思いますが、ひとつ弊社で実施しているのは評価項目にワードを散りばめることですかね。そうすると、分かりやすく普段から意識するようになります。

ただ、バリューとかウェイとかは当てはめやすいですが、もう少し上段の話になると評価制度には取り入れにくいので、月並みですが、やはり対話しかないのかなと思ったりします。強制的にそれだけを語る会、オープンにディスカッションする会、のように月にいくつかあってもいいのかなと思ったりします。

企業理念は、自分ごと化が重要

黒田:
この質問については明確な答えがありまして、ひとつは、事業毎、グループ毎などでリーダーにあたる方たちが、自社の企業理念をかみ砕いて、自組織のところで理念をつくるということです。

企業理念は全員を同じ考えにするということではなくて、自分ごと化してもらい、最終的には一人ひとりの中に落ちて、各々の個性が生きて多様性のある組織になるためのものだと思うのです。企業理念を自分の言葉にすると、魂が宿って、その人の生きる信念になっていたり…そういう風に浸透していくと良いなといつも思っています。

そのためのいろいろな仕掛けがありますが、評価制度に紐づけるだけだとどうしても自分ごと化しづらいので、例えば研修をしてみたり、映像をつくって見せてみたり、本にして配って時々振り返ってみたりなども効果的です。弊社では、毎週月曜の朝会で、行動指針について皆でエピソードを語り合っています。繰り返しになりますが、最も重要なのは、言葉を自分ごと化してもらうことですね。

橋本氏:
それはありますよね。

私が以前所属していた企業では、グループ会社が40社程、グループ全体で社員は4000〜5000人程いました。3か月に一回、約3000人が一堂に会して企業理念を唱和するんですよ。企業理念自体が8ページ程あったのですが、周りの社員に聞くと、何も理解していないと言っていたのです。

黒田:
読み上げるだけなのですね。

橋本氏:
ですが、書かれている内容は素晴らしくて。その後、初めて社内で理念に関する研修が行われたのですが、そこで文章の中で何か心に残る言葉があるか聞くと、それはあるというのです。深掘りしていくと、「今まで読み上げていた文章がカタカナからひらがなに変わった」というのです。要するに、読めるようになったということでした。

稲畑さんのご経験のように、見方を変えたら自分ごとになって考え方が変わった…ということも、黒田さんの自分ごと化が大事という話も至極納得です。本セミナーのテーマは、理念浸透を誰がやったらいいのかということもあると思いますが、それぞれリーダーシップをとれる人がやったらいいですし、何から手つけたらいいかでいうと、まずその言葉を自分ごととして考えてみるというのは、ひとつヒントになりそうですね。

稲畑氏:
そうですよね。弊社はよく考えてみると、黒田さんや橋本さんが仰っていたことを知らず知らずやっていたのだなと思いました。大きなミッション・ビジョン・バリューを自分の言葉で置き換えてみたら、ミッション・ビジョンができていました、みたいな。自分の考えと、企業・組織の理念が紐づいてより理解が深まっていくということですね。

橋本氏:
黒田さんに解説いただいたバタフライモデル™(詳しくはこちら)のように、パーパス・ビジョンの策定からロイヤルカスタマー向けのイベントまで同時並行まで全部やるというのは難しいので、何から始めていけばいいのかということですよね。これらの取り組みを一つひとつ、自分たちごととしてやっていくことが重要かもしれませんね。

インナー、アウター、どちらから始めるか

橋本氏:
黒田さんに質問ですが、アウターブランディング、インナーブランディングってどちらから始めると良いのですか?

黒田:
私は絶対にインナーブランディングから始めるべきだと思います。なぜかというと、いきなり社外に向けて新聞広告とか交通広告とか出したりすると、社内に全然知らされていなくて社員が白けてしまうケースがあるからです。

逆に言うと、インナーに向けて共感を生む施策を実施してから、アウターへの発信をやると良いと思います。それは同時進行でも良くて、インナーが完全に浸透しきってからやるのは時間がかかりすぎてしまうので、アウターだけ先行しすぎないことが大事です。

橋本氏:
なるほど。それにちょうど付随するような質問を視聴者の方からいただきました。

理念の策定は誰がやったらいいか?

一番の浸透は、理念策定に社員を巻き込むこと

橋本氏:
「理念をつくるまでは、どのようなメンバーで進めるとよいのでしょうか。お話をお伺いして、なるべく多くの社員に参画してもらうとよいのかと思いましたが、人数が増えるほど決定が難しくなると感じています。」とのことですが、いかがですか?

黒田:
先程お伝えしそびれましたが、一番理念浸透に効く施策は、つくるのに携わってもらうことだと思っています。当然、全社員に直接携わってもらうのは難しいので、アンケートやワークショップに参加してもらい、しっかり自分の意見が反映されている、もしくは、聞いてもらえてるという状態をつくるのがとても大事だと思います。なので、ご質問への回答でいうと、なるべく多くの社員に参加してもらえるように工夫する、だと思っています。

実は今、社員数6万人の企業さまのご支援をしております。さすがに全社員でワークショップを実施するのは難しいので、アンケートの実施と、カードゲームのようなものをつくり、各現場でワークショップを実施してもらえるようにしようとしています。

新しい未来を考えるうえで自分で考えて意見を出したということ、新しい理念に反映されているのがきちんと伝わること、が重要だと思います。

橋本氏:
そうですよね。自分を一枚嚙んでる感を、どう出せるかということですね。

稲畑さんはいかがですか?

稲畑氏:
私も同じ考えですね。携わる人が増えるほど、自分ごと化していく人も増えるということだと思うので、やはりこの進め方が大事かなと。ただ、6万人はすごいですね。どう巻き込むかは、恐らくいろいろなツールも使いながらなのかと思いますが、できるだけ多くの人が関与することはとても大切だと思います。

黒田さんにお伺いしたいのですが、とはいえ、経営者の強い想いなど譲れない部分あると思うのですが、その辺の最後のバランスはどうなのでしょうか。

黒田:
そうですね。例えば創業者が今もいる企業や、創業家から血縁があって引き継がれている企業などでは、やはり経営一族の意思が強いことが多くありますよね。ですが、その方々の一存で決めても、その元で活躍する参謀の方々もすぐにイエスと言って行動してくれる企業もあって、それはそれで、その企業の強さでもあると実感しています。

ですが、多くの企業ではそのようになっていないのが実態で、だからこそ企業理念をつくる時には社員も巻き込んだ方が良いし、それで成長してこられた企業も多くあります。そのあたりのバランスは図る必要がありますね。

先程橋本さんが仰っていた、みんなで唱和しても実は読んでるだけみたいな社員がいる企業もあると思いますが、それはそれで、そういうチームが甲子園で勝つということもありますよね。多様性を活かしているチームが必ず勝つか、というとそうでもなかったりするので。

今は多様性の時代なのでみんなでつくっていった方が良いと思いますが、昔はそうでもなかったですし。その辺は時代が変わる中で何が正解なのかというのを常に探しています。

まとめ

稲畑氏:
自分がいろいろと企業経営していく際、より一層理念を大事にしていきたいなと思いましたし、その企業の特色に合わせて理念をどううまくつくるか、浸透させるか、使っていくかみたいなところは、答えはないですが、考えながら経営していくと面白く、私自身の幅も拡がりそうだなという学びになりました。

黒田:
やはり、稲畑さんや橋本さんなどご自身で経営されてるという方から、私が話したことに対して率直にすごく大事なことだと思ってると言っていただけて、やってきたことは間違いではなかったと思えました。

橋本氏:
企業理念というと、ついつい企業としての取り組みと思って大上段で捉えがちだと思います。ですが、単純な話でいうと、隣に座って一緒に仕事してる人がどんな人で何を考えているのかも分からないケースもあると思っていて、まずは隣同士で話出すことから始めてみるのもいいのかなと思ったりしています。本日は、ありがとうございました。

録画視聴のお申込み

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以上、2024年7月16日開催「企業変革に欠かせない「理念浸透」〜3社の実例から学ぶ組織強化の秘訣〜」のセミナーレポートでした。