学生の声から読み解くターゲット学生に刺さる採用広報戦略

皆様、こんにちは。営業部の石田です。

 

さて、先日10月28日(木)に、「学生の声」を多く持つWebメディアである「ONE CAREER」を運営する株式会社ワンキャリアより亀澤順子氏、採用×インナーコミュニケーションにおいて独自の知見を有する株式会社揚羽よりリクルーティング事業部マネージャー白岩大氏の両名が登壇し、コロナ禍での採用活動元年となった2021年に収集した学生・人事の声を元に、今後の採用活動で担当者のみなさまが必ず押えておくべきポイントについて、徹底議論しました。

 

第一部:クチコミ・データから読みとく市況感


スピーカー:亀澤 順子 氏
株式会社ワンキャリア
コンサルティングセールス事業部

 

はじめに、株式会社ワンキャリアのコンサルティングセールス事業部に所属されている亀澤 順子氏から、学生の声をもとにクチコミ・データから読みとく市況感、採用活動を効率化していく手法についてお話しいただきました。

 

ONE CAREERは、国内最大級の新卒採用メディアです。選考を受ける学生に選考の中で体験したことをクチコミという形で投稿してもらうことを特徴としており、クチコミ情報の掲載数は約40万件にも上ります。ONE CAREERは「学生が最も利用した就活サイト」ランキングにおいて、この数年で学生の利用者が急増しており、22卒ではランキング2位まで浮上しています。このことからも、学生はファーストキャリアを選択し意思決定する上で、参考となる実際の声・データ(=クチコミ)をもとめる傾向が強まっていることがわかります。

 

学生が最も利用した就職サイト

 

変化する採用マーケット

昨今の就職活動はオンライン化しており、ターゲット学生に接触し、適切に魅力をアピールすることがますます重要となっています。この背景には採用マーケットの変化があります。22卒、23卒ではオンライン化によって、「就活開始の早期化」「エントリーの希薄化」「内定保留/辞退の増加」の3つの大きな変化がありました。

 

・就活の早期化
グラフはONE CAREER会員の卒年度ごとの総エントリー数の推移を示したものです。21卒のエントリー数のピークは3年生の3月にありますが、22・23卒ではサマーインターンの母集団形成期(5月後半〜6月)にピークを迎えています。数値からも就活の早期化に拍車がかかっていることがわかります。

 

学生の早期化が加速

 

また、早期化の要因として、「オンライン説明会の増加」「就活セミナーやコミュニティの増加」の2点が挙げられます。21卒まではオンラインの就活に関するコンテンツは少なかったのですが、22卒からはコンテンツが拡充されたことによって、学生が就活を始めやすくなりました。また、学生主導の団体による就活キックオフセミナーや先発コミュニティなどもオンライン化によってイベントの開催障壁が低くなっており、活動が活発化していることも学生が早期に就活を始めやすくなった要因としてあります。

 

早期化の要因は

 

こうした学生の動きに応じて企業側も早期に動き出しを始めていますが、一方で早期化&オンライン化が進む状況に対して悩みをかかえている企業(人事)も増えています。人事からは以下のようなお悩みをよく聞くようになりました。
「オンラインで選考への参加のハードルが低くなっている分、内定承諾率に不安が残る。」
「オンライン化によって、学生の意向度がはかりづらくなった。早期に出会った学生を自社のファンにするための対応が必要だと思うが何があるのかわからない。」
「オンラインで関わりをもつなかで、学生が本当に考えていることや気持ちが見えづらくなっている。より相互理解を深めるためにはどうしたらいいのか、を課題に感じている。」

 

・エントリー時の志望度の希薄化
学生の意向に着目をすると、1人当たりのエントリー社数は21卒から22卒にかけて急増しています(2.77→5.72社)。学生の声を聞いてもわかるように、オフラインに比べて、エントリーのコストが低く参加できる分、「なんとなく」「とりあえず」エントリーしている学生が増えています。

 

学生のハードルが低いため、エントリー時の志望度は希薄化
・内定保留/辞退の増加
また、22卒において「内定辞退をした学生がどのくらいいたのか」「何社くらい内定を辞退したのか」の調査結果をグラフにまとめました。結果から、学生はなんとなくエントリーをして接触数を増やしたものの、どの内定先を承諾すればいいのかの決め切ることができず、就活を続けている状況が見えてきます。

1社に決め切れずに内定を複数保持し、辞退が増加
これらの状況から、次年度以降も昨年と同様に、エントリーは集まるが採用に至らないというケースが多くなる市況感になることが予測されます。

 

ターゲット学生をひきつける明確なブランドの必要性

こうした市況感においては、ターゲット学生のみを集客してひきつける、明確なブランドを構築することが必要であると言えます。そもそもブランディングとは、第二・第三者が自分の期待する評価を口にしている状態をつくることを示し、採用におけるブランドとは、学生が「〇〇といえばこの会社」と想起できている状態を指します。

 

ターゲット学生をひきつける明確なブランドの必要性

 

・ブランド構築に必要なもの
ブランドとは、期待に応え続けることで溜まっていった信頼そのものであると思っています。「情報発信による学生の認知」と「体験者のクチコミ」が両立している状態がワンキャリアが定義するブランド構築です。「情報発信による学生の認知」とは、オウンドメディア、採用メディア、SNSなど、ありとあらゆる発信を通して「〇〇な企業らしいな」という学生の認知・期待を作っていくことです。こうした期待を信頼に変換していくためには、「思った通りだった。」「認知通りだった。」という実際の体験を作っていくことが重要です。目に見える結果として、学生や在籍する社員など「体験者のクチコミ」があります。

 

ブランディングをしていく上で、情報を発信する「認知」ばかりを膨らませて、信頼への転換がおろそかになってしまうケースが多く見受けられます。認知・期待ばかりが膨らんで、それに伴う体験がないという状況では信頼は醸成されません。また、こうした状況は体験者のクチコミによって可視化されてしまいます。
まとめると、ブランドを構築する上で重要なのは、認知と体験のギャップを無くしていくことであると言えます。
ターゲット学生をひきつける明確なブランドの必要性2

 

ワンキャリアパートのまとめです。
1.採用マーケットの変化
「就活開始の早期化」「エントリーの希薄化」「内定保留/辞退の増加」により
エントリーは集まるが採用に至らないというケースが多くなる市況感である。
2.ターゲット学生をひきつけるには明確なブランドの必要性
ブランド構築には「情報発信による学生の認知」と「体験者のクチコミ」が両立していることが重要。

 

第二部:肌感覚採用からの脱出とアプローチ戦略の重要性


スピーカー:白岩 大 氏
株式会社揚羽
プロデューサー/リクルーティング事業部マネージャー

 

・肌感覚で採用広報していませんか?
採用広報といえば、WEBサイト、映像などがイメージしやすいかと思いますが、弊社では、インターンシップのプログラムの内容、説明会のプレゼンの内容、先輩社員の語っている内容なども含めての採用広報であると考えております。
こうした採用広報施策の良し悪しやどのくらい効果が出ているのかについては、肌感覚で把握している会社が多いのではないかと思います。

昨今の採用市場は、「エントリー数」「内定辞退率」「なんとなくの内定保留」「オンライン化の重要度」が高まっていることもあり、こうした市況感においては、ターゲット学生の歩留まりを確実に向上させるための、高精度な採用広報戦略が必要であると言えます。

 

採用広報戦略の考え方

①自社独自の魅力を探す
まずはターゲット学生に対して発信していく自社の魅力を探していきます。魅力を探していく上で、「ターゲットが求め」「競合には言えない」「自社独自の魅力」を見つけ出すことが重要です。基本的に、3C分析のフレームに則って分析するのが考えやすいと思います。また、そうして発見した自社独自の魅力を、いつどのようにターゲットに届けていくのかを設計していくのがアプローチの全体戦略です。戦略を考えていく際には、カスタマー(ターゲット)である学生の声を拾ってくることが必須です。

採用広報戦略の考え方

 

・企業の魅力はを25項目で整理
続いて、ターゲット学生が企業に求める要素をより詳しく把握する方法についてお伝えします。学生が求める企業の魅力は、「業界」「個社」「仕事」「報酬 / スキル」「人 / 社風」の5つのカテゴリーに分類され、カテゴリーごとに5つの要素を含み、合計25項目に分かれています。企業の魅力は、すべてこの25のブランド項目にあてはめることができます。このフレームワークは、「自社の魅力がどこにあるのか共通認識をもつ」「ターゲット学生が求める企業の魅力を把握する」上で非常に重要です。

 

一例を挙げてご説明します。学生が自社を選んでくれた理由を「人の良さを魅力に感じてもらった」と肌感で認識していたとします。しかしこれでは、学生に刺さったのが「人の魅力」の中のどの項目(内容)なのかが言語化出来ていない状態です。これでは、社内の共通認識として、自社の魅力を把握することが出来ません。そこで、このフレームワークを使用することで、学生に刺さった魅力を客観性をもって、正確に認識することができます。

 

採用広報戦略の考え方2

 

・ターゲット人材が求める魅力を把握する
企業に対して求める魅力は、学生のスペック(学群、性別、文理など)やタイプ(キャリアへの志向性)によって異なります。このことからも、自社を受けに来ている学生が何の魅力を求めているのかを正確に把握することが重要であり、高精度な採用広報活動をおこなっていく上では必須であると言えます。
採用広報戦略の考え方3

 

また、自社の魅力は先ほどご紹介した5つの軸で整理することが望ましいです。魅力を体系的に整理することで、競合に対して自社が打ち出していくべき魅力を発見することができます。

 

採用広報戦略の考え方4

 

②必要なタイミングで適切な情報を発信する
続いての図は、学生の動き「認知、興味、検索、行動、共有」(ISAS、購買行動モデル)を縦軸に、企業の5つの軸の魅力を横軸にとったものです。図のように、どのタイミングで、どの魅力を訴求していくのか設計することが非常に重要です。こうした設計をせずに、サイトや映像など広報物を作ったとしても、どの魅力も際立ったものにはならず、学生には刺さりません。
必要なタイミングで適切な情報を発信する

 

ある海運業界の会社は、初期の認知段階では学生に伝わりずらい「業界の魅力」に焦点を当てた映像を制作し、その後は学生の行動フェーズにあわせて、「個社」「仕事」「報酬」「人・社風」と訴求する内容を変え、終盤には学生に海運業界の面白さをシェアしてもらう設計をしました。このように、行動フェーズに合わせて広報全体の設計をすることで、学生には漏れなく自社の魅力を届けることができます。

 

必要なタイミングで適切な情報を発信する2

 

・オンライン化によって不足した「感じる情報」を補足する
これまで「感じる情報」はオフラインで行われていた座談会、面談、インターンシップ、現場見学などで担保されていましたが、オンライン化によってこの部分が伝えられなくなってしまう企業が増えています。不足してしまった訴求内容を補うためには、その前提としてのターゲットが求める魅力、自社の魅力を把握することが必要です。これらの情報を把握するためには、学生に対する定量的なサーベイ調査なども有効です。

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必要なタイミングで適切な情報を発信する3

 

揚羽パートのまとめです。
1.忖度ないリアルな声を定量データで収集
2.高精度な3 C分析・採用広報戦略設計
3.各採用広報の訴求強化

これが近年の採用成功パターンです。
まずは1から始めてみるのはいかがでしょうか。

 

最後に、今後も変化していく採用市場において、自社が採用活動を行う上で重要なポイントをお二人からお話いただきました。

 

まず、亀澤氏からは2点
①客観的なデータを基に採用の意思決定をしていくこと
②手法ではなく、中身にこだわってメッセージを届けること

白岩氏からも2点
①肌感覚ではなく定量的に把握すること
②まずは現状把握から始めること
でした。

 

定量的なデータ把握を基に意思決定を行い、”何”を学生に伝えるかを考えることが、今後の採用市場で最も重要になってくるポイントと言えるかもしれません。

 

以上、10月28日(木)開催オンラインセミナー~学生の声から読み解くターゲット学生に刺さる採用広報戦略~のセミナーレポートでした。

 

弊社では採用活動にご活用いただける資料もご用意しています。ご参考にしていただける事例をまとめた資料もございますので、下記からぜひご覧ください。

 

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今後もオンラインツールも活用しながら、皆さまのお悩みを解消できるようなセミナーを随時開催していきますのでご期待ください。