採用動画は、いまや採用活動において欠かせないツールになりつつあります。文字よりも効率的に多くの情報を伝達できる動画は採用活動と相性が良く、採用活動における課題解決コンテンツとしても機能します。

今回は、採用動画の成功事例や制作のコツなどを詳しくご紹介します。

採用動画の種類

採用動画には、以下のようにさまざまな種類があります。

  • 社員インタビュー動画
  • 事業紹介動画
  • オフィス紹介動画
  • コンセプトムービー
  • 企業説明会動画

採用動画のターゲットは、いずれも求職者です。しかし、動画の種類によって伝えたい情報は異なります。
まずは、採用動画の主な種類をみていきましょう。

社員インタビュー動画

社員インタビュー動画は、自社の社員にインタビューした様子・内容を動画にしたものです。実際に働く人が登場するため、リアルな様子が伝えられます。社員インタビュー動画にも、下記のようにさまざまな種類があります。

種類 特徴
1名へのインタビュー動画 ・特定の一人にフォーカスした動画

・部署や職種について実際に働く社員目線で具体的な内容が伝えられる

複数名へのインタビュー動画 ・部署や職種ごとに複数の社員にフォーカスした動画

・多角的な情報が伝達できる

座談会形式のインタビュー動画 ・あるテーマについて話し合ったり、同一の質問に順番に答えていく動画

・社内の雰囲気がわかりやすい

1日密着型のインタビュー動画 ・特定社員に密着するドキュメンタリー風の動画

・入社後の姿が具体的にイメージしやすい

社風や社員目線での仕事内容など、リアルな情報が伝えられるためミスマッチの軽減を図れる点がメリットです。

事業紹介動画

事業の紹介をメインとした動画です。求職者に企業・事業への理解を深めてもらうことを目的に、主に以下のような内容で構成します。

  • 企業の概要、歴史
  • 業界の説明
  • 代表的な商品やサービス
  • 代表者のメッセージ など

事業紹介動画の構成要素は企業によってさまざまですが、複数の内容を1つの動画にまとめ網羅的に紹介する点が特徴です。主に企業説明会で放映したり、Webサイトに掲載する方法があります。

オフィス紹介動画

働く場所の様子や雰囲気は、求職者にとっても気になるポイントの一つ。オフィス紹介では実際に働くオフィスや事業所など、企業に直接訪問しないとわからない情報が伝達できます。

おしゃれなオフィスや充実した設備、オープンスペースやリラクゼーションルームなど、働く場所の快適さや利便性、外観の良さは採用プロモーションとしても機能します。「こんな場所で働きたい」と思ってもらえることで、応募へのきっかけ作りや意欲向上に期待できるでしょう。とくに、オフィス環境に力を入れている企業は動画のメリットを活かしやすいでしょう。

コンセプトムービー

企業理念やビジョン、商品やサービスに込められた想いなどの抽象的な概念や採用活動における一貫したコンセプトを伝える動画です。言葉や文字では伝えにくい概念的な内容を視覚的に訴求できます。

コンセプトムービーは求職者の共感を得やすく、応募意欲や入社意欲を高めたり、採用のミスマッチを軽減したりするために役立ちます。採用コンセプトに合わせて制作することがポイントであり、独自性の高いコンセプトムービーはSNSやYouTubeでの拡散効果にも期待できます。

企業説明会動画

求職者に向けて、企業の基本的な情報を紹介する動画です。企業説明会で伝える内容を動画化したものともいえ、一般的な内容は以下のとおりです。

  • 会社概要
  • ビジョン
  • 事業内容
  • 募集職種の仕事内容
  • 福利厚生の紹介 など

企業説明会をオンラインで開催する場合やオフラインの説明会に来られなかった求職者に向け、後日配信するなど、採用活動において広く利用することが可能です。遠方に住んでいる求職者に対して企業説明会を実施する手段ともなるため、応募者の母集団形成にも期待できます。

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学生が動画に求める内容

学生が採用動画に求めることは、下記2つのポイントです。

  • 現場の雰囲気がわかるリアルな動画
  • 効率的な情報収集

各ポイントを詳しくみていきましょう。

現場の雰囲気がわかるリアルな情報

動画は「かっこよさ」などクオリティの高さを重視してしまいがちです。もちろんクオリティも重要ですが、それ以上に学生が「身近さ」を感じられるかがポイントです。

23・24卒の就活生を対象にした「Z世代就職の動画活用」に関する実態調査では、企業選びで参考になる採用動画として約7割が「働いている様子がわかる動画」と回答しています。

出典:株式会社moovy「Z世代就職の動画活用」に関する実態調査(2022)

出典:株式会社moovy「Z世代就職の動画活用」に関する実態調査(2022)

また、最新の調査では見たいと思う採用動画のコンテンツとして、約6割が「1日の流れ」と回答しています。

出典:株式会社moovy 24卒就活と採用動画に関する実態調査(2023)

出典:株式会社moovy 24卒就活と採用動画に関する実態調査(2023)

いずれも、現場の雰囲気がわかるリアルな情報を求めていることがわかります。社員が実際に働く様子や本音がわかる動画は身近さが感じられ、入社に対する不安の払拭に役立ち、応募や入社意欲の向上に期待できます。

効率的な情報収集

タイムパフォーマンスを意識するZ世代の学生は、採用動画で効率的に情報収集できるかを重視している傾向にあります。とくに、職種別の仕事内容や事業内容は情報収集に難しさを感じている学生も多く、これらの内容を効率的に理解できるような採用動画は好評です。採用動画を制作する際は、短時間で理解しやすいコンテンツを意識すると良いでしょう。

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採用動画の成功事例

揚羽の支援実績より、採用動画の成功事例をご紹介します。

採用初期の興味喚起につながる採用映像

コンテンツ企画 / コンテンツ制作

 

【採用動画制作の背景】
ウシオ電機株式会社は「光」のイノベーションカンパニ―として、産業や医療など幅広い領域で「光」を扱ったソリューションを提供している企業です。直近の新卒採用では、選考途中での離脱や内定辞退率が増加傾向にある点を課題と感じていました。その原因を求職者の事業理解が不十分であることと考え、企業理解を促す会社説明会映像の制作をご支援しています。

【採用動画制作のポイント】
今回ターゲットとなる認知初期層の求職者は、オファー受取時やイベント参加時に初めて同社を知るというケースが多く、加えて業界に対しての理解が浅いケースが多いと考えられます。そのため、採用動画は企業理解の入り口である「業界」と「個社」の魅力をアピールする内容を選定しました。

「なにをしている企業なのか」「どのような強みを持つ企業なのか」を印象つけて興味喚起を促し、その後エントリーや選考のステップに誘導することで応募者のミスマッチ低減を図ることが狙いです。

映像公開後、技術系採用ではオファー型の求人サービスにおけるオファー承諾率が5%上昇し、オファー経由のイベント・選考応募者数の増加につながりました。

ウシオ電機株式会社の採用動画 支援実績はこちら

見る人をファンにさせるブランデッドムービー

企画構成 / 制作進行 / ディレクション / キャスティング / 編集 / 撮影

 

【採用動画制作の背景】
東急不動産ホールディングスの中核を担う東急不動産株式会社では、自社独自の魅力を伝えきれていない点を課題に感じていました。そこで、自社独自の魅力を伝えること、そしてぶれない企業ブランドを確立していきたいとの想いから、ドラマ仕立てのコンセプトムービーの制作を支援しています。

【採用動画制作のポイント】
ターゲット学生から抽出した就活での悩みや葛藤などのインサイトから、ムービーにおける共感の入り口とゴールを設定。東急不動産らしいやりがいや働き方を新入社員の成長ドラマに落とし込むことで入社後イメージを醸成し、学生からの共感度が高いストーリーに仕上げました。

細かいストーリーテリングによって映画のように気軽に視聴できながら、エモーショナルなアプローチで見た人を同社のファンにさせるような自然な流れを目指しました。採用ドラマムービーとしては異例の3週間で15万回再生を獲得しています。

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攻めるアニメーションの採用コンセプト映像

企画構成 / 制作進行 / ディレクション / アニメーション作成 / 編集

 

【採用動画制作の背景】
第一勧業銀行・富士銀行・日本興業銀行の合併により発足した株式会社みずほフィナンシャルグループ。新卒採用活動において、「金融」「銀行」に対する保守的なイメージを持たれやすい点を課題に感じていました。そこで、既存の業界・企業イメージを払拭する採用コンセプト映像の制作をご支援しています。

【採用動画制作のポイント】
保守的なイメージから脱却するため、面白みや意外性を感じてもらえるようアニメーションという手法を採用。紙幣たちがタイムスリップするという舞台設定で、金融・銀行がもつ「堅い」イメージを払拭しています。日本最古の銀行、そしてみずほの前身である第一国立銀行を立ち上げ、新1万円札にも選ばれた渋沢栄一をメインキャラクターに設定。年代ごとに変わる登場キャラクターの服装や登場するモノ・乗り物などは時代考証をしっかりと行うなど、細かい設定にもこだわっています。

株式会社みずほフィナンシャルグループの採用動画 支援実績はこちら

色鮮やかな映像や勢いのあるBGMで演出

企画構成 / 制作進行 / ディレクション / 取材・撮影 / コピーライティング / 編集

 

【採用動画制作の背景】
青果物流業界売上No.1の卸売会社である、東京青果株式会社。採用現場で使用する企業紹介映像の制作をご支援しました。同社の中心的存在は市場の花形ともいわれる「セリ人」です。一般的にはなかなかイメージが湧きにくく、その仕事の魅力をいかに学生に伝えるかが課題にありました。

【採用動画制作のポイント】
映像の舞台は、東京を中心に消費される青果を一手に流通させる大田市場です。市場での日常をなるべくそのまま伝えるため、長時間カメラを回したり、定点カメラを設置したりして現場のリアルな様子を撮影。「セリ人」の仕事内容や仕事のやりがいを、実際に働く社員の言葉や熱気溢れる市場の雰囲気で演出しています。

冒頭は勢いのあるロック調の音楽を使用して市場の熱気を表現。情緒感を演出するために映像に色補正を行うなど、視聴者のテンションを高めて興味を喚起するとともに、企業への理解度を向上させられる映像に仕上げました。

東京青果株式会社の採用動画 支援実績はこちら

地域密着型、街づくりの魅力が詰まった一作

企画構成 / 制作進行 / ディレクション / 取材・撮影 / コピーライティング / 編集

 

【採用動画制作の背景】
総合不動産会社として数々の事業に取り組まれてきた安田不動産株式会社。採用現場で使用してきたプロジェクト映像に代わる新たな映像の制作をご支援しています。同社の特長の一つである「地域密着型」の街づくりをテーマに、1997年より手がけている日本橋浜町開発プロジェクトを取り上げてその様子を「粋な仕事」と題して映像化しました。

【採用動画制作のポイント】
同社の仕事のスケール感や奥深さを訴求するため、地域の方々や誘致したテナントさん、開発に関わる社外の人にまで出演してもらう企画構成としました。ドローンを多用するなどして俯瞰した映像を使用し、動画もこれまでのプロジェクト映像を上回るスケール感を演出しています。

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理解が難しい事業内容をアニメーションでわかりやすく

企画構成 / 制作進行 / ディレクション / 取材撮影

 

【採用動画制作の背景】
金融のフロント業務ともいえるディーリング・トレーディング事業をITで解決するシンプレクス株式会社。「金融×IT」という強みが学生にイメージされにくく、プレエントリーから自社説明会への参加につながらない点を課題に感じていました。そこで、「金融×IT」をわかりやすく訴求できる映像の制作をご支援しました。

【採用動画制作のポイント】
企業理解が難しい「金融×IT」をアニメーション映像でわかりやすく解説した動画となっています。これまで同社が作り上げてきた「一流」「イノベーティブ」といったイメージを学生たちに定着させるため、オーケストラやプロのアスリートなどの一般的な一流プレイヤーと同社の社員を重ねる表現を使用。映像はあえてモノクロシーンを含め、ブランドイメージが持つ潜在的な高級感を演出しました。

シンプレクス株式会社の採用動画 支援実績はこちら

「らしい」魅力をさまざまな映像展開で醸成

企画構成 / 制作進行 / ディレクション / 取材・撮影

 

【採用動画制作の背景】
産業用電気機器のなかでも、農業機器をメインとした『アグリ』で有名なヤンマー株式会社。特定事業のイメージが強く、ほか事業の魅力が伝わっていないことで、ES提出までの段階でターゲット学生を誘引できていない点を課題に感じていました。

そこで、企業理解が浅い段階から発信し、企業理解の促進やターゲット学生の獲得につなげる採用動画の制作をご支援いたしました。

【採用動画制作のポイント】
企業コンセプトである「チームヤンマー」を軸に、自社の魅力である「ヤンマーでの働き方」と「ヤンマー社員らしい考え方」を社員の1日仕事紹介を通して伝える動画を企画。社員の仕事紹介は「事務系」「技術系」に分けて、早期段階から発信しています。

単なる仕事紹介にならないよう時間ごとの詳細な仕事をヤンマーらしい熱いコメントで端的に表現したり、GoProで社員目線の映像を織り交ぜたりと、ヤンマーで働く様子や魅力を自分事に捉えられるような動画に仕上げています。

ヤンマー株式会社の採用動画 支援実績はこちら

ものづくりの本質を考えさせる真面目に遊ぶオトナたちの旅番組

企画構成 / 制作進行 / ディレクション / コピーライティング / 取材・撮影 / デザイン

 

【採用動画制作の背景】
「オシャレだけど真剣。かっこいいけど楽しそう。」なゲーム制作会社の株式会社コロプラ。クリエイターを目指す学生に「コロプラで働くクリエイターたち」の考え方・姿勢を伝えることで共感を作り、ものづくりの本質を伝えるとともに「真面目に遊ぶ大人感」を伝える映像制作をご支援しました。

【採用動画制作のポイント】
採用映像ではあまりない「クリエイターの旅」をコンセプトにした映像を立案。動画には、社内でも同社らしさを体現している方々をキャスティングし、ものづくりの本質を探っていく展開としています。カジュアルな同社のイメージに合致した映像美や音楽にもこだわり、視聴する学生たちに強いシンパシーを感じさせる映像に仕上がりました。

株式会社コロプラの採用動画 支援実績はこちら

採用動画制作のコツ

採用動画は、以下のコツをふまえて制作することで効果が高められます。

  • 採用動画の目的の明確化
  • ターゲットの明確化
  • 採用動画を使用するシーンの設定
  • 制作実績の多い制作会社へ相談

それぞれのコツを詳しくみていきましょう。

採用動画の目的の明確化

採用における課題は、企業によってさまざまです。目的によって動画のコンセプトや方向性が変わってくるため、まずは採用動画を制作する目的を明確にしましょう。目的が明確になることで、動画で何を伝えたいか、そのためにどういった内容が必要かなど、動画の具体的な方針や内容が検討でき、課題の解消につながる動画を制作することができます。

ターゲットの明確化

制作する動画のターゲットと自社が求める人物像(ペルソナ)を明確にすることが重要です。人物像を詳細に洗い出すことで、採用動画の方針や内容がより明確に検討できるようになります。ターゲットは、以下のようなポイントから明確化してみましょう。

  • 新卒採用かキャリア採用か
  • 採用したい職種
  • 業務内容
  • 採用したい人物の要件
  • 期待する行動
  • 年齢 など

採用動画を使用するシーンの設定

採用動画を使用するシーンによって、求職者の求める情報やニーズは異なります。そのため、採用動画を使用するシーンの設定も欠かせないポイントです。たとえば、企業説明動画や事業紹介動画であれば、企業説明会での使用を想定できるでしょう。使用シーンとその時に動画を視聴する求職者の感情の移り変わりや企業理解度などを考慮することで、求職者のニーズを満たす動画が制作できます。

制作実績の多い制作会社へ相談

近年、簡単に動画が制作できるツールも多く登場しており、個人でも簡単に動画が制作できるようになりました。しかし、採用動画に関するノウハウがないと効果的な動画の制作は難しいでしょう。

動画制作が容易になり、多くの種類の採用動画があるからこそ、他社との差別化を図る独自のコンテンツとクオリティの高い採用動画を制作することがポイントです。実績の多い制作会社に相談・依頼することで、自社の課題に合った効果的な採用動画を制作できます。

【おすすめ資料】25卒学生に聞いた!志望度に影響する要素とは

まとめ

採用動画は言葉や文字では伝えにくい、感情や雰囲気、概念といった抽象的な内容もわかりやすく伝達できるツールです。採用動画にはさまざまな種類の動画があり、課題や動画を使用するシーンに応じて使い分けることがポイントです。

動画は一度制作すればさまざまなシーンで利用でき、高い費用対効果にも期待できます。費用以上の効果を生み出す採用動画を制作するためには、採用動画制作の実績が豊富な会社に相談することがおすすめです。

揚羽ではこれまで多数の採用動画の制作をご支援しています。採用における課題や企業のコンセプトを軸に、採用ブランディングの視点から効果的な採用動画を制作いたします。採用動画の制作をご検討している方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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