採用パンフレットは、主にオフラインでの採用活動で活用されるツールです。コンパクトな冊子の中で必要な情報のみ伝達でき、求職者への理解促進や認知拡大に期待できるでしょう。
今回は採用パンフレットの制作を検討している方に向けて、制作の目的や種類・活用シーン、制作のポイントや事例などをご紹介します。

採用パンフレットを制作する目的

採用パンフレットが活用されるシーンは、主に企業説明会や合同企業説明会のようなオフラインの場です。まずは、採用パンフレットを制作する目的とあわせてメリットをみていきます。

認知拡大

採用パンフレットは、配布した数だけ認知拡大につながります。合同企業説明会や就活セミナーといった多数の企業が集まるイベントでは、多くの学生や求職者が来場するため、企業にとって学生や求職者と接点を持つ大きなチャンスです。
しかし、多くの企業が集まる中ですべての参加者に自社の存在をアピールするのは至難の業です。ですが、採用パンフレットがあれば企業の存在だけでなく、自社の魅力や仕事内容などの詳しい情報まで伝達できます。

理解促進

企業の存在を認知しても、「どういった事業を行なっているのか」「どんな魅力があるのか」を理解できなければ、応募までに至りにくいでしょう。採用パンフレットでは、関心や応募意欲を高めるために必要な情報を伝達することが可能です。

一般的に、採用パンフレットは1ページ目から順番に読み進めることを意図して制作します。意図した順番・ストーリーで情報を伝えられるため、読み手も理解しやすい点が特長です。また、ページ数もそこまで多くないコンパクトな冊子であるため、読み手のモチベーションを下げにくく、いつでも情報を確認できる点も読み手へのメリットです。

リマインド効果

採用パンフレットは手元に残るため、認知効果の継続に期待できます。後からパンフレットを読み返してもらったり、部屋に置かれたパンフレットから企業の存在を思い出し、さらなる情報収集を行なってくれるケースもあるでしょう。手元にある限り企業との接点が継続しているともいえ、配布から時間が経過してもその後何らかのアクションのきっかけを作ってくれるツールと言えます。

保護者へのアピール

とくに新卒学生の場合、保護者が応募先や就職先を気にしやすい傾向にあります。採用パンフレットは保護者にも手軽に見せやすく、応募あるいは就職する企業を説明する上で役立ちます。

BtoBビジネスを展開する企業であれば、子どもの就職活動をきっかけに企業への興味関心がさらに高まったり、BtoCビジネスを展開する企業であれば、採用パンフレットを通じてより理解が進み、その企業へのイメージアップにも期待できるでしょう。

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採用パンフレットの種類と活用シーン

ひとくちに採用パンフレットといっても、その種類や活用シーンはさまざまです。種類別に採用パンフレットの活用シーンや特徴、役割をご紹介します。

早期・インターンシップ向けパンフレット

インターンシップや会社説明会への参加を促すことを目的としたパンフレットです。就職活動の早期段階での認知拡大に有効であり、企業を知るきっかけ作りになります。一人でも多くの新卒学生との接点を持つために広く配布することからも、バラマキツールとも呼ばれます。多くの新卒学生の興味を引くためにも、デザインにこだわって制作されることが多いパンフレットです。

メインパンフレット

メインパンフレットは、会社説明会や合同企業説明会、就活セミナーなどで活用される一般的な採用パンフレットです。採用サイトとあわせて活用される採用活動の主軸ツールであり、事業内容や企業の魅力などの理解促進や認知拡大、応募意欲を高める役割を持ちます。

メインパンフレットのコンテンツ内容は、企業によってさまざまです。事業内容や社内制度などを網羅的に紹介するものから、社員紹介や企業の特徴にフォーカスしたコンセプトブックなど、企画できるコンテンツは多岐にわたります。

内定者フォローツール

採用活動は内定を出して終わりではありません。内定から入社まで定期的にコミュニケーションをとり、関係性を継続することも重要です。この時点でのフォローがうまくできていないと、内定辞退が発生する恐れがあります。

内定者のフォロー方法は懇親会や面談など、オフラインのコミュニケーションを通じて行う方法が王道です。しかし、物理的距離や回数の限度があるため頻繁に実施するのは難しい場合もあるでしょう。そこで役立つのが、フォローツールとしてのパンフレットです。

パンフレットなら手軽なコンテンツであるため、定期的に発行しやすく継続的なコミュニケーションツールとして活用できるでしょう。社員のプライベート紹介や商品・サービスの開発秘話など、公にしづらい情報をコンテンツ化することで、内定者のモチベーションや帰属意識の向上につながり、内定辞退の防止に役立ちます。

その他ツール

近年制作のご相談が増えているのが、保護者向けのフォローツールです。保護者の反対によって内定辞退が起こるケースも少なくなく、保護者への安心材料を提供するためにも採用パンフレットが役立ちます。保護者目線で懸念されるポイントを払拭できるコンテンツが作成できれば、保護者が抱える不安や疑問をダイレクトに解消できるでしょう。

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採用パンフレット制作を成功させるポイント

採用パンフレットは、ただ制作すれば効果が発揮できるわけではありません。期待する効果を発揮させるためには、以下のポイントを押さえて制作することが大切です。

採用全体の戦略方針を決定

採用全体の戦略方針は、採用パンフレットの制作も含めた採用活動全体の基盤となるものです。まずは以下のポイントをまとめ、採用全体の戦略方針を考えてみましょう。

  • 企業の状況
  • 数年先のビジョン
  • 新卒採用マーケットの動向
  • 直近数年の採用課題 など

全体の戦略方針が決定したら、それをもとに採用コンセプトを固めます。採用コンセプトを軸にコンテンツなどを検討できれば、採用活動全体において統一感のある訴求が可能となります。

求める人物像の設定

求める人物像を設定することで、プロモーションや訴求の方向性が明確になります。この時、求める人物像をできる限り具体的にイメージすることがポイントです。なぜなら、ターゲットの属性やバックグラウンドによって、どういった情報にスポットを当てるかも異なってくるからです。

求める人物像の設定に迷った場合は、自社で活躍している人を参考にするのも良いでしょう。実在する人物を参考にすることで、具体的な人物像が設定できます。また、自社に不足する人材を洗い出し、その要素を入れ込んで求める人物像として設定するのも一つの手です。

コンセプトの設計

採用パンフレットを制作する核となるのがコンセプトです。採用パンフレットを通して何を伝えるかを設計していきます。コンセプトを設計するには、採用パンフレットを制作する目的の明確化も必要です。

認知拡大をしたいのか、求職者に自社の理解を深めてほしいのか、応募に進んでほしいのかなど、目的に応じて掲載する情報やその粒度も変わってきます。「何のために」「何を伝え」「その後どうしてほしいのか」といった流れでコンセプトが設計できると、ブレのないコンテンツが制作できるようになります。

理解を促進し記憶にも残るデザイン

パンフレットは会社説明会など、採用活動の中でも比較的初期の段階で活用されるものです。求職者との接点を作り出すツールであることからも、理解を促進して記憶に残るデザインであるかも重要なポイントです。

見やすいレイアウトや構成、理解しやすいわかりやすい内容、統一感があり企業イメージが想起できるようなデザインであれば求職者の記憶にも残りやすくなります。とくに、表紙のデザインは求職者の目に最初に映るものであることから、そのインパクトも大切です。記憶に残ることで企業との接点が継続され、その後のアクションにつながる可能性も高まります。

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採用パンフレットに掲載する要素

採用パンフレットの役割は目的やターゲットによっても変わりますが、全体的な役割は企業の理解促進です。新卒学生や求職者の目線に立ち、就職活動時にどういった情報を知りたいかを軸に要素を検討することもポイントです。
ここでは、採用パンフレットに掲載すべき代表的な要素をご紹介します。

理念・ビジョン

求職者が企業の理念やビジョンに共感できるかは、応募や内定承諾において重要なポイントです。理念やビジョンは「自社らしさ」を訴求できる要素であり、企業活動の核となるものであることからも掲載すべき要素です。理念やビジョンとあわせて、現在までの成長の軌跡をストーリー性を持って伝えることで、より企業理解を促せます。

事業内容

事業内容は、求職者が知りたい情報の一つです。新卒学生や業界・業種未経験の求職者に正しく理解してもらうため、専門用語や社内の共通言語はつかわず、できる限りわかりやすい表現で噛み砕いて作成することがポイントです。

事業内容を正しく理解してもらうことは、入社後のミスマッチを防ぐためにも重要です。複数の部門がある場合には部門別にコンテンツを作成したり、社員ごとの具体的な1日のスケジュールが掲載されていると入社後がイメージしやすくなります。

採用メッセージ

新卒学生やキャリア人材など、採用ターゲットに向けたメッセージも掲載すると良いでしょう。採用担当者の言葉を伝えることで企業と求職者の距離を縮めたり、親しみを持ってもらえる効果に期待できます。

一緒にどのような企業を作っていきたいか、入社してくれる人に何を期待しているかなど、採用担当者の意向を伝えることは応募者のミスマッチを軽減する役割も果たしてくれます。

福利厚生・待遇

福利厚生や待遇は、応募や入社の決め手ともなり得る要素の一つです。内定承諾に迷っている場合は、とくに他社と比較されやすい項目といえます。導入している福利厚生を一覧で端的に記載するだけでなく、実際にどのように使われているかなどの情報を加えると良いでしょう。
自社の魅力として訴求できる福利厚生はピックアップするなど、魅力と感じてもらえる見せ方を工夫することがポイントです。

教育・研修制度

教育・研修制度は、入社後のイメージや将来的な成長可能性を測るための要素でもあります。新卒学生向けのパンフレットでは、入社直後の研修やフォロー体制を詳細に紹介することで、入社後の不安感の払拭につながります。
新卒学生は「入社後、仕事についていけるか」といった不安を抱える人も多いため、安心材料を提供する役目も果たしてくれます。

先輩社員の声・インタビュー

実際に働いている人の声は、求職者にとって信用度の高い情報です。入社後の働く姿もイメージしやすくなり、応募・入社意欲の向上に期待できます。
良い情報だけを載せるのではなく、仕事で大変なことや苦労したことなどの情報もあると信憑性が増します。ネガティブ要素も入社前に理解しておくことで、企業への信頼アップや透明性の確保にもつながります。

募集要項

募集要項は、募集職種や給与などの基本情報です。就職活動時に最初に知りたい情報であることからも掲載は必須。採用サイトに掲載している情報と同レベルで問題ありません。
採用パンフレットでは、求職者が抱えている不安や疑問に対する補足を加えるなど、ちょっとした工夫を施すと効果的です。

社風や社内外活動

オフィス内の様子や社内外活動について掲載することで、社内コミュニケーションの活発さや社風などがイメージしやすくなります。リモートワークも増えたなか、新しく入社する場所で人間関係を構築できるかは求職者も気になるポイントです。写真や実際の活動に参加した社員の声を掲載することで、入社後も社内コミュニティに馴染みやすいといったイメージ付けができるでしょう。

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採用パンフレットの取り組み・成功事例

揚羽の支援実績から、採用パンフレットの取り組み事例をご紹介します。

採用のミスマッチを軽減する採用パンフレット

アイリスオーヤマ株式会社

企画構成 / 制作進行 / ディレクション / 情報設計 / デザイン / コーディング / イラスト制作 / ライティング

【背景】
同社では、2022年度卒業以降の高卒生採用をさらに強化する採用計画を策定。当時使用していた採用ツールは、ハローワークの求人票と高卒生向け採用サイトでした。しかし、とくに求人票では同社の多様な職種形態や各職種の仕事内容が伝えきれず、現場でのミスマッチが課題となっていたことから、採用パンフレットの制作と採用サイトのリニューアルをご提案しました。

【具体策〜成功へ】
企業が直接生徒にアプローチできないことをふまえ、高卒生採用のプロセスを「教師へのアプローチ」と「生徒・保護者へのアプローチ」という2段階に分解。それぞれのステップに必要な情報を掲載したパンフレットの制作に対応しました。

それぞれの視点から同社への理解を深め、正しい情報とイメージを持って選考に進められれば採用のミスマッチを軽減することが可能となります。また、教師が十分な情報を得られるようになることは、保護者にとってもメリットがあります。なぜなら、子どもの就職先に関する十分な情報が提供されることで、安心できる就職先であるかを見極めやすくなるからです。

そして、採用パンフレットと採用サイトはキービジュアルを統一。ターゲットが高卒学生であることから、砕けすぎず漫画っぽくなりすぎないデザインでフレッシュさとパワフルさ、かつ安心感のある印象を持ってもらえるよう工夫しました。

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ブランディングの世界観を反映した採用パンフレット

オリックス株式会社

企画構成 / 制作進行 / ディレクション / 取材・撮影 / コピーライティング / デザイン / 編集

【背景】
既存の枠にとらわれないチャレンジをミッションに掲げる同社。事業投資、不動産、銀行、資産運用、環境エネルギー、アグリビジネス、コンセッションなど他にはない独自のビジネスモデルを確立し、多角的に事業を展開することから「何をやっているのかがわかりにくい会社」というイメージを持たれることもあり、採用におけるイメージ形成が難しい原因となっていました。

そこで、同社ならではの強みや魅力をわかりやすく伝え、オリックスブランドのファンになってもらうことを目指した採用ブランディングをご提案。その一環として採用パンフレットの制作をご支援しました。

【具体策〜成功へ】
クリエイティブにおいては、ブランドスローガン「ほかにはないアンサーを。」に象徴されるコーポレートブランドをいかにして採用ブランディングの世界観に落とし込むかを重視しました。

パンフレットでは、母集団の拡大とオリックスブランドの認知向上を目指し、ビジネスモデルや事業内容の魅力を、インパクト溢れるビジュアルとキャッチコピー、デザインで表現。パンフレットとサイト、映像それぞれの効果が連携するようなコミュニケーションプランのもと、各採用ツールの役割を最大限引き立てました。

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温もりのある社風を伝えた採用パンフレット

セントケア・ホールディング株式会社

企画構成 / 制作進行 / ディレクション / 取材・撮影 / コピーライティング / デザイン

【背景】
介護産業を通して一人ひとりの生きる喜びや地域のつながりを創造し、福祉コミュニティを拡げ、生命の尊厳を守る「心の産業」を広めることを理念に掲げ、業界を牽引する同社。

しかし、学生からは「介護の仕事=重労働」のイメージが強く、選考辞退が多い点が課題でした。福祉系を志望する学生以外にもアプローチするため、合同説明会や会社説明会で使用するパンフレットの制作をご支援しました。

【具体策〜成功へ】
パンフレットでは、セントケアを表す2つのキーワード「私らしさがサービス」「名前を呼ばれる喜び」を元に社員紹介のエピソードを展開することで、同社の魅力を訴求しました。また、パンフレットから会社・社員の雰囲気が伝わるよう、使用する写真は温かさや自然さを表現しています。

そして、外面は目を引き、思わず手に取りたくなるようなデザインを重視。介護職に携わる人の明るさや快活さを表現し、かつ目に入りやすいカラーであることから蛍光イエローの表紙を採用しました。

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採用パンフレット制作のよくある失敗

採用パンフレットの制作でトラブルが起こらないようにするためにも、よくある失敗を事前に押さえておきましょう。

納期が間に合わない

採用パンフレットは、説明会やセミナーなどオフラインの場で使用されることがほとんどです。イベントは開催日が決まっているため、採用パンフレットを新たに制作する場合は納期も考慮する必要があります。

よくある失敗は、納期の遅延です。原因はさまざまですが、遅延を防ぐには余裕のあるスケジュールでプロジェクトを進めることが大切です。万が一のトラブルも念頭に、納期は使用する前日の一週間ほど前に設定してプロジェクトを進めましょう。

追加費用が必要になる

採用パンフレットの制作には、取材やライティング、撮影やデザインなどさまざまな費用がかかります。当初の修正回数を上回ってしまったり、撮影日数が予定よりも延びてしまった場合などには、追加費用が発生するケースがあります。

また、制作過程でデザインなどを変更した場合に、想定より多くの費用が発生する可能性も。変更や遅延などがあった場合には、その都度追加される費用の有無を確認することで、後から起こるトラブルを防げます。

現場で使われない

せっかく作った採用パンフレットが現場で使ってもらえない状況は、意外にも珍しくありません。現場で使われないことには期待する効果も発揮されず、制作費用が無駄になってしまうでしょう。さらに、採用チームと現場で伝えるメッセージがバラバラになってしまい、採用ブランディングにも影響しかねません。

現場でパンフレットを活用してもらうには、現場がパンフレットの重要性や必要性、役割を理解している必要があります。そのためにも、採用パンフレットの制作には上流の採用チームだけが関わるのではなく、新卒採用の担当者や採用イベントの現場に出る人など、採用に関わるキーパーソンも巻き込んで一体的に取り組むことが大切です。

【おすすめ資料】25卒学生に聞いた!志望度に影響する要素とは

まとめ

採用パンフレットは、採用サイトと併用して活用されるツールの一つです。会社説明会や合同企業説明会などのオフラインの場で活用でき、配布後もリマインド効果で接点を継続できることで応募などのアクションのきっかけにもなります。効果的な採用パンフレットを制作するには、採用活動全体の戦略方針やコンセプトに基づき、メッセージやデザインなどに統一感を持たせることがポイントです。

揚羽では、採用のその先まで見据えた採用ブランディングの一環として、採用活動全体の方針・コンセプトに沿った採用パンフレットの制作を支援しています。採用活動全般に課題やお悩みがある方は、ぜひ揚羽にご相談ください。

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