採用ブランディングとは、採用における企業ブランドを確立する取り組みのことです。採用ブランディングの手法はさまざまであり、企業の課題や求める人材像によって取り組むべき施策が異なります。

本記事では、採用ブランディングの成功事例を揚羽の支援実績からご紹介します。成功事例から採用設計方法を知り、自社の採用ブランディングにお役立てください。

採用ブランディングとは

採用ブランディングとは、自社のブランド価値を戦略的に構築していくことです。採用活動の中で求職者に対して自社の魅力や理念、入社するメリットや働きやすさを発信するコミュニケーションともいえます。

採用ブランディングの実施により、企業イメージの向上や応募・入社意欲を高める効果に期待できます。さらに、応募者の母集団の数・質の向上や入社後のミスマッチ軽減、採用コストの削減や従業員のエンゲージメント向上といったメリットも得られます。

単に「どういった企業か」「どのような働き方をしているか」という情報だけでなく、「企業らしさ」を訴求し、競合他社と差別化を図ることがポイントです。そのためには、企業の基本情報だけでなく、理念のような概念的なカルチャーも発信していくことが必要です。

採用ブランディングについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

採用ブランディングとは?必要な背景や具体的な手順について解説

採用ブランディング成功事例1(AGC株式会社)

調査分析(ビズミルサーベイ)/ 戦略策定/コンテンツ制作

ガラスをはじめ、電子や化学品、セラミックスなど多様な分野の「素材の会社」として知られるAGC株式会社。同社の魅力を正しく伝えるための採用ブランディングをご支援しました。

採用ブランディングの背景

さまざまな分野の素材を扱う会社として、世界トップシェアを誇ることからも学生や求職者からの認知度は高く、プレエントリー数に大きな課題はありませんでした。しかし、内定承諾のフェーズで大手同業他社や大手グローバル企業と競合しやすい点に課題がありました。

そこで、「AGCだから入社する」という最後の決め手となる訴求力を高めるため採用ブランディングをご支援。2022年春より、「AGC採用施策リニューアルプロジェクト」を開始しました。

設計~アウトプット

実施したこと
  • 採用に関する定量的・定性的な調査分析
  • 新たな採用コンセプトの策定
  • 採用ツールの制作

提案時には揚羽の採用ブランディング効果測定サービス「BiZMiL SURVEY(ビズミルサーベイ)」を活用し、同社と競合他社を比較した採用ブランドの強み・弱みを可視化。定量・定性、両方のデータをもとに明確な根拠のあるブランディング戦略を策定しました。

調査の結果、同社と競合他社の差別化要素として「大きな裁量権」を抽出。
同社のブランドステートメントである「Your Dreams, Our Challenge」を採用視点で再解釈し、「やりたいことに挑戦できる環境」をブランドの軸とし、新たな採用コンセプトを「Your Dreams, Our Challenge その挑戦は、未来を加速させる」に決定しました。

コンセプトに基づき、新卒・キャリア・第二新卒向けの3種類の採用サイト及び新卒採用パンフレット、同期座談会・仕事密着の2種類の採用動画を制作。サイトやパンフレットはコンセプトの世界観を表現したデザインを取り入れ、映像では挑戦できる環境であること、そして社員が日々の業務の中でどんな挑戦をしているのかを伝えられるコンテンツを企画しました。

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採用ブランディング成功事例2(三井金属アクト株式会社)

企画構成 / 制作進行 / ディレクション / 情報設計 / 撮影 / デザイン / コーディング / 編集 / ライティング

三井金属グループに属する、自動車用機能部品メーカーの三井金属アクト株式会社。企業の採用力をさらに強化するための採用ブランディングをご支援しました。

採用ブランディングの背景

同社の採用活動では、理系の中でもとくに機電系という需要の多い職種を求めていることもあり、応募者の母集団形成に課題がありました。競合他社からも重要度が高い機電系の理系学生へのアプローチ、および企業全体の採用力を強化するため、採用ツールと採用広告を企画制作しました。

設計~アウトプット

実施したこと
  • 採用サイト、コーポレートサイトの制作
  • 採用映像の制作
  • 会社紹介映像の制作
  • 会社案内パンフレットの制作
  • 交通広告の制作

同社の経営理念「人を尊重し、人を育て、人を活かす。」こと、そして世界品質の技術力を持っていることを学生に伝えるべく、採用コンセプト「世界品質、アクト人。」を策定。コンセプトが一目で伝わるよう、各採用ツールではトップビジュアルとして出演社員に「世界品質」のフェイスシールを貼る演出を施しています。この演出により、人こそが世界品質である点を訴求しています。

採用コンセプトは採用活動における各所でプロモーションしていくため、職人感が伝わるよう手書きの筆文字を採用し、統一感とオリジナリティを表現。今回は採用との連動性を強めるため、HRを核として「安心感」と「先進性」を軸としたコーポレートサイトも制作しています。

同時にコーポレートサイトも制作することで、社内・社外に向けて一貫した採用ブランディングの価値を提供できると同時に、同社に所属するすべての人が「世界品質、アクト人。」として活躍しているイメージ付けを行いました。

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採用ブランディング成功事例3(オリックス株式会社)

企画構成 / 制作進行 / ディレクション / 取材・撮影 / コピーライティング / デザイン / 編集

多角的に金融サービスを展開するオリックス株式会社。採用における同社のイメージを形成し、オリックスブランドのファンになってもらうことを目指した採用ブランディングをご支援しました。

採用ブランディングの背景

同社は金融やリース業を展開するイメージが強いですが、世の中のニーズをいち早く捉え、事業投資や不動産、資産運用や環境エネルギーなど、他にはないさまざまな独自のビジネスモデルを確立。ブランドスローガン「ほかにはないアンサーを。」のとおり、既存の枠にとらわれないチャレンジを続けていることで多角的に事業を展開しています。

ユニークなビジネスモデルが同社の魅力である一方、「何をやっているのかがわかりにくい」点が採用における課題でした。そこで、同社だからこそできるチャレンジや成長を就活生にわかりやすく伝え、同社のファンになってもらうことで応募・入社意欲を高めることを目指した採用ブランディングを実施しました。

設計~アウトプット

実施したこと
  • 採用サイトの制作
  • 採用パンフレットの制作
  • 採用映像の制作

オリックスブランドの世界観を採用の観点から解釈し直すことで、”働く場所”としてのブランド価値向上を目指しました。クリエイティブでは、「ほかにはないアンサーを。」に象徴されるコーポレートブランドをいかにして採用ブランディングの世界観に落とし込むかに一貫してこだわりました。

具体的な施策として、母集団の拡大とオリックスブランドの認知向上を目的に採用パンフレットを制作。オリックスブランドのエレメントを生かしたデザインワーク、ビジネスモデルや事業内容の魅力をインパクトあるビジュアルとキャッチコピー、デザインで表現しています。

また、採用サイトでは社員のワークスタイルやキャリアモデルなどを映像やインタビューを通して伝えるコンテンツを企画。「オリックスだからこそ生み出せるアンサー」や「オリックスでしかできない成長」を具体的にイメージできるよう内容を設計しています。パンフレットとサイト、映像それぞれが効果的に連携するようなコミュニケーション設計を行い、各ツールの役割を最大限引き出しました。

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採用ブランディング成功事例4(株式会社ヒノキヤグループ)

調査/ 戦略策定 / クリエイティブ制作

Z空調を主力商品に、注文住宅を中心としたさまざまなサービスを展開するヒノキヤグループ。メイン事業である注文住宅における採用を強化するための採用ブランディングをご支援しました。

採用ブランディングの背景

同社は注文住宅を中心に、分譲住宅・宅地やリフォーム、資産活用などさまざまな事業を展開しています。会社の成長とともに事業が多角化していくなか、改めて注文住宅事業を軸におく方針を打ち出しました。しかし、以前に比べて同社の成長を支えてきたような営業マインドを持った人材が採用しづらくなっている点が課題になっていました。

そこで、同社の強みとなる注文住宅によって業績に貢献できる人材、そして「ヒノキヤグループ2030ビジョン」の実現を紐づけて考えることができる人材の採用を目指し、採用ブランディングの一環として採用サイトの制作をご支援しました。

設計~アウトプット

実施したこと
  • 採用コンセプトの策定
  • 採用サイトの制作

まず行ったのは「BiZMiL SURVEY(ビズミルサーベイ)」を用いた内定者へのブランドイメージ調査です。調査からは、仕事の奥深さへの理解が足りていないとの結果が見えました。

この結果をもとに、採用コンセプトの方針を検討。ターゲット学生の特性を考慮し、かつ企業の姿勢やキャラクターを感じるようなメッセージが共感につながると考え、採用コンセプト「向き合った証が、住まいの進化になる。」を策定しました。

採用サイトにはコンセプトメッセージの受け皿となるページ設計を行ったり、事業紹介では商品開発の歴史を掲載したりと、同社の成長の源泉を感じさせる情報設計にこだわっています。また、コーポレートカラーであるオレンジ色を大胆に使用し、活躍する社員をパワフルに表現。多くの快適な暮らしを提供するという根本的なやりがいをうまく表現し、ターゲット学生の共感が得られるサイトの制作をご支援しました。

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採用ブランディングを成功させるためのポイント

採用ブランディングを成功させるためにも、以下のポイントを押さえましょう。

中長期的かつ全社的に取り組む

採用担当者や経営陣のみで進めず、現場とも連携して採用ブランディングに取り組むことが大切です。なぜなら、現場とのギャップが生じてしまうと、入社後のミスマッチの原因となる恐れがあるからです。

現場とのギャップを生まないためにも、従業員全員に理念が浸透しているか、発信する魅力と現場が感じている魅力に乖離がないかなどを確認しましょう。

そして、採用ブランディングは短期的に効果の出る施策でないことを認識することもポイントです。採用に限らず、ブランドとして認知されるまでは時間がかかるもの。実現したい採用ブランディングのゴールを決め、中長期的に根気強く取り組む意識が大切です。

あわせて、予算や人員などのリソースも中長期的な計画に基づいて考えましょう。

ターゲット人材を明確にする

採用の目的は、必要な人材の確保です。自社が求める人材を獲得するには、ターゲット人材を明確にすることがポイントです。ターゲット人材にあわせて具体的なアプローチ方法を選定するのが、採用ブランディングの基本的な流れです。自社の求める人物像の解像度を上げるペルソナを作成しましょう。

継続する

採用ブランディングは、継続的に行うことも重要なポイントです。なぜなら、求職者が感じる魅力的な会社の定義や自社が訴求したい魅力は変化していくものであるからです。一度施策を実施して効果が出たからと終わりにせず、定期的な調査や施策の実施、その効果検証のPDCAを回すことで、変化に適応しながら企業のブランド価値を確立し続けられます。

まとめ

採用ブランディングの手法は、企業の課題やターゲット人材、目指すゴールなどによってさまざまです。成功事例からは、さまざまなパターンの採用ブランディングの設計方法や施策を知ることができます。成功事例も参考に、自社に合った採用ブランディングを実施することが大切です。

揚羽では、トータル的な採用ブランディングをご支援しています。採用に課題がある、採用ブランディングの実施を検討しているが何から始めれば良いかわからないという場合は、お気軽に揚羽にご相談ください。

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