「インターナルブランディング」という言葉を耳にしたことがある方も多いでしょう。インターナルブランディングは、企業のブランド価値を高めるため、社内・従業員に対して実施する取り組みです。組織力を高め、企業の持続的な成長を可能にするには、インターナルブランディングが欠かせません。本記事では、インターナルブランディングとは何かを踏まえ、「インナーブランディング」との違いや事例をご紹介します。

インターナルブランディングとは

インターナルブランディングとは、自社の理念や価値を明確にし、従業員に浸透させ企業価値を高めるための取り組みです。自社への理解を深めてもらうことで、企業の価値観に基づく行動を促せるようになります。インターナルブランディングの具体的な取り組みには、下記のようなものがあります。

  • クレドの作成、配布
  • 社内報や社内SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)での発信
  • 人事評価制度との連動
  • 表彰制度の導入

参考記事:「インナーブランディングの進め方は?基本的な流れや注意点について解説」

インターナルブランディングの目的

インターナルブランディングの目的は、従業員に自社の理念や価値を共有することです。企業の理念や価値観を「自分ごと化」するためのベースを構築する取り組みともいえます。適切にインターナルブランディングが実施できると、従業員の行動が企業理念と価値を体現し、その行動が企業ブランドを高めてくれます。

従業員の行動につなげるためには、まず企業の理念や価値観を「認知」して「理解」「共感」 する必要があります。従業員がどのフェーズにいるかを把握し、必要な施策を実行していくことがインターナルブランディングの具体的な取り組みです。

参考記事:「パーパス浸透までの4STEPと取り組み事例を紹介」

なぜインターナルブランディングが必要なのか

現代は企業に対して、目先の利益よりも持続的な成長可能性が重視されています。そこでポイントとなるのが「社会における企業のあり方」であり、企業理念や企業が持つ価値観こそが、それを示すものです。

そして、それらを体現するのは企業の価値を具体的に提供する従業員です。従業員一人ひとりがブランドの発信者であり、すべての従業員が自社の理念や価値を理解している必要があります。そのための取り組みとして、インターナルブランディングが欠かせません。

現代はビジネス環境や社会はもちろん、従業員も多様化しています。働き方に対する考え方や価値観はさまざまであり、一人ひとりの持つ「当たり前」が異なる時代です。その中で組織力を強化するには、方向性の統一が不可欠であり、共通言語となる企業理念の理解と共感が重要なのです。

インターナルブランディングはいつやるべき?

もし従業員に、自社の理念や価値観が伝わっていないと感じる場合は、すぐにでも実施すべきです。また、MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)の変更時や企業合併時、事業拡大時など、企業メッセージや企業・事業体制そのものが変わったときは、インターナルブランディングが必須です。そうした明確なイベントがなくても、日々のコミュニケーションからインターナルブランディングに取り組み、地道に社内へ浸透させていくことが求められます。

参考記事:「インナーブランディングを日本一わかりやすく解説」

類似する言葉の「インナーブランディング」とは

似た言葉に「インナーブランディング」があります。当社は、基本的に「インターナルブランディング」と「インナーブランディング」は同じ意味と捉えています。ブランディングは「何に投資するか」によって種類が変わり、「従業員」をターゲットとした投資活動をインナーブランディングと捉えています。教育や表彰、評価やインセンティブ、オフィス・IT設備、福利厚生などは、インナーブランディングにおける投資です。

そもそも「ブランディング」とは

ブランディングは、企業そのものや提供するサービスの「価値」や「イメージ」を顧客や社会に認識してもらうための戦略的な活動です。インターナル(インナー)ブランディングは、その中でも社内・従業員向けのブランディングとなります。その目的は「企業の持つ質・量の価値をこれまで以上に顧客に発揮することで、儲けるため」です。企業活動の目的は顧客に自社の価値を発揮し、その対価として報酬を得ることにあります。

そして、その報酬を投資に回すことで、インターナル(インナー)ブランディングが強化され、企業はより価値を発揮でき、成長していきます。ブランディングには、インターナル(インナー)ブランディングのほか、社外向けのアウターブランディングや人材確保のための採用ブランディングがあります。それぞれは密接に関連しており、その関係性は以下のとおりです。

ブランディングはインナー/アウターの両輪で実行する

ブランディングというと、販売促進などを目的とした外向きのアウターブランディングを強くイメージされるかもしれませんが、当社は内向きのインターナル(インナー)ブランディングが非常に重要だと考えています。そのため当社は、全方位ブランドコミュニケーション「バタフライモデル®」を考案しました。

バタフライモデル®は、インナー&アウターブランディングの訴求内容が矛盾しない“言行一致のブランドコミュニケーション”のための方法論です。企業活動は社内外にさまざまなステークホルダーが存在します。全方向から共感を得るためには、企業全体で一貫したメッセージを発信することが欠かせません。そのため、インナーブランディングとアウターブランディングを両輪で実行していく必要性が高まっているのです。

インターナル(インナー)&アウターブランディングの支援事例

ここでは当社の支援実績より、インターナル(インナー)&アウターブランディングを支援した事例をご紹介します。

株式会社ニッセイコム

2015年にコーポレートブランドをリニューアルした同社。その後、変化が激しい社会環境を前に、10年後、20年後の未来を見据え、社会に貢献できる企業を目指すために、ニッセイコムの企業ブランド強化が必要であると認識しました。そこで、本プロジェクトでは同社の価値を可視化し、社内外にスムーズにメッセージを届ける方法を提案しました。

実施したこと
  • 経営層へのインタビュー
  • 従業員を対象としたワークショップの開催
  • コアバリューの導出とブランドメッセージの創造
  • キービジュアルの作成
  • 特設ブランドWebサイト、ブランド映像、ストーリー映像の制作

ブランドの核となるコアバリューは経営層のインタビューや従業員が参加したワークショップから出たワードやフレームワーク、ブランドストーリーから洗い出した「ニッセイコムの価値」をもとに導出。ブランドの価値をメッセージとして可視化するだけでなく、社内外の多くの人に伝達できるよう、Webサイトや映像といった複数のコミュニケーションツールも制作しています。

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株式会社ブイキューブ

2020年、「Evenな社会の実現」に必要不可欠な同社のサービスを利用する顧客、求職者、従業員、株主、地域社会といった“すべてのステークホルダーのサクセス”の総称である「ピープル・サクセス」という考え方が生まれました。組織として「ピープル・サクセス」を推進するため、新たにピープル・サクセス室という部署も設置。人材育成や働き方に関する施策など、さまざまな取り組みを実施しています。

当社では、この「ピープル・サクセス」をブランドとして確立し、社内外すべてのステークホルダーに対して取り組みを発信する「ピープル・サクセス サイト」を通じた、社内外への発信を支援しました。「ピープル・サクセス サイト」は同社に関わるすべてのステークホルダーに対して具体的な取り組みを訴求するだけでなく、同社の紹介や採用サイトとしても機能するような構成となっています。

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ステークホルダーに対して一貫したメッセージを発信

インターナルブランディングはインナーブランディングと同義であり、自社の理念や価値を明確にし、従業員に浸透させ企業価値を高めるための取り組みです。従業員が自社の理念や価値を理解し、共感できるようになれば、自社ブランドに基づいた行動を取れるようになります。そして、この積み重ねが企業価値を高めていきます。

インターナル(インナー)ブランディングは、アウターブランディングと両輪で実施することが重要です。社内外のさまざまなステークホルダーに対して一貫したメッセージを発信することで、企業の確固たる価値が確立します。当社は、インナー&アウターブランディングを両輪で実施するための全方位ブランドコミュニケーション「バタフライモデル®」を考案しています。この考えに基づき、企業の一貫したブランド構築・価値向上のための支援が可能です。理念浸透や企業ブランドの確立に課題を感じる方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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