第四回「共創Meetup」を開催いたしました

2024年3月5日(火)に、揚羽主催の交流イベント第四回「共創Meetup」を開催いたしました。

「共創Meetup」とは、サステナブルな未来の実現のため、サステナビリティ経営に取り組む企業が集い、意見を交換し協力し合いながら価値を創出することを目的に立ち上げられたコミュニティです。

今回は、「障がい者アートをビジネスにどう活かすか」というテーマに長年取り組んできた、一般社団法人障がい者自立推進機構 パラリンアート運営事務局 専務理事の村山 朝和氏をお招きし、『組織変革、ビジネス成長はアートで実現しうるか?』をテーマにトークセッションを実施。「共創ワーク」も実施し、参加企業の皆さまには各社での取り組みを共有いただきました。

当日の様子をご紹介します。

イベント開催の狙い「多様性を活かし新価値を創出するために」

まずは私 黒田より、今回のイベントの狙いと背景をお話しました。

揚羽 黒田天兵 サステナビリティ

黒田:
日本において、サステナビリティ経営に取り組む企業が増えてきた一方で、消費者がプレミアム(割増金)を支払う傾向は低く、「経済的対価が得られない」、「思い切ったリソース投入ができない」といった企業も多い現状があります。

弊社では、企業が社会にインパクトをもたらし対価を得るためには、以下の5つのプロセスがあると考えています。

(1)どのような価値を提供するのかを定義する
(2)社員一人ひとりが意志を持ち、自ら出来ることを考え行動する
(3)想いを持った社内外の仲間と切磋琢磨する
(4)その中でベストプラクティスや新たな価値創造を創出する
(5)社会インパクトとその影響度に合わせた対価を得る

これらのステップのうち、今回のイベントでは「(3)想いを持った社内外の仲間と切磋琢磨する」ために各社でどのような取り組みをしているのかを、共有しました。

価値創造 ステップ

新たな価値創造を創出するためには、多様な視点が欠かせません。
価値観の違う人とのコミュニケーションには障壁もありますが、それを乗り越え意見を交わすことでベストプラクティスが生まれるのです。

この「知的な格闘」をいかに組織にもたらすことができるかが重要です。

その方法はさまざまで、社内で発生する「クローズドイノベーション」、社外のパートナーを巻き込んだ「オープンイノベーション」、ユーザーと実現する「ユーザーイノベーション」など広範囲にわたり、新たな取り組みが実施されています。

組織 イノベーション 方法

当日は、「ユーザーイノベーション」の事例として、世界的に有名な家具メーカーの事例をご紹介しました。同社では、元々ある商品に対し障がいをお持ちの方から意見をもらい、商品の形状や機能を一部変更することで、売上が上がったといいます。ユーザーから得た視点により小さなイノベーションを引き起こすことで、より多くのユーザーから受け入れられ、より豊かな社会を実現できるという気づきを商品にもたらした例です。

黒田:
このように、元々ある企業の価値観と少し違った風を吹かせて組織を揺らすことで、そこから新しい価値を創っていくという取り組みは、皆さまの企業の中でも実施されているのではないでしょうか。ぜひ今回は、皆さまの多様性を活かすナレッジを共有いただき、組織変革のためのヒントと共創を生む関係性をお持ち帰りいただきたいという想いで、イベント開催に至りました。

トークセッション「組織変革、ビジネス成長はアートで実現しうるか?」

トークセッションでは村山氏より、障がい者アート支援を通じて考える、アートがもたらす組織変革への効果をお話しいただきました。

村山氏:
一般社団法人 障がい者自立推進機構では、社会保障費に依存せず“民間企業の継続協力”で、障がい者自立推進を継続できる仕組み作りを目指しています。企業様へは、障がい者支援のお願いではなく、自社のSDGsやESGの「ブランディング」や「プロモーション」のひとつにご活用頂いています。その結果として、『障がい者の自立に繋がる活動』と、ご理解いただいております。

国内障がい者総数は日本人口の約9.2%である約1160.2万人、そして、その81.6%が貧困線(年収122万円) 以下という現状があります。民間企業や就労継続支援事業所で就労する障がい者の給与水準は、日本の給与所得者全体の平均年収を下回っており、また、就労支援団体に務める社員の水準も低いという状況です。

私たちは、障がい者が抱える「社会参加の少なさ」「金銭的困窮」「周囲の理解の少なさ」を解決するため、障がい者アーティストのアート作品(絵画・デザイン等)を、企業に利用していただく活動を行っています。

パラリンアート 活用 Meetup

今回は「アートをビジネスに活かすには」というテーマですが、電通美術回路様が出版している『アート・イン・ビジネス』(2019年12月、有斐閣)では、アーティストが持つ思考力を取り入れることがビジネスの発展に必要であると提唱されています。VUCAの時代、臨機応変な対応が求められる中で、アート思考が注目されているのです。

「アーティストの視点」について、パラリンアートアーティストの方々のインタビューから考えてみたいと思います。

パラリンアートアーティストの志方弥公さんのインタビューでは、

文字だけでは伝えきれない、奥深いメッセージを視覚で表現したくて描いています。
文字だけだと限定的に捉えられがちですが、絵の場合は毎日の感情によって イメージする印象が変わる不思議なコミュニケーションツールです。 そして、それを観る方々の感想を聞いて、次の制作の肥やしにするのが楽しみなのです。』

というお話がありました。

志方さんの言葉からは、「曖昧さを前提としたコミュニケーション」がアートであるように感じられます。組織においても、初めから「曖昧であることが前提のコミュニケーション」によって、自分自身の考えや新たな考え方をお互いが表現できるような環境を作り出せるかもしれませんね。

また、同じくパラリンアートアーティストのANNAさんは、

『描く作品も、“ブロッコリーは緑”などの既成概念に囚われず、その時感じたまま描くようにしている。アートは私にとって、“内に秘めた、内面の表現ができる場所。”

とおっしゃっています。

既成概念や常識を破ってそれを楽しむことや、物事の本質に向き合おうという姿勢は、組織変革に必要な要素なのかもしれません。

揚羽 パラリンアート

トークセッションの最後には、パラリンアートを活用した企業事例をご紹介いただきました。アート作品をきっかけに会話が生まれたり、社員に刺激を与えたり、組織のコミュニケーションが活性化した、といった効果をお話いただきました。

共創ワーク

3〜4名ずつ計12チームに分かれ、各社の取り組みをシェアいただきました。

サステナビリティ イベント Meetup

最後に、ご参加いただいた方々からは以下のような感想をいただきました。

『いろいろと気付きをいただいた会でした。共創ワークでは、とても面白い議論ができました。』
『他の企業さまも同じ課題を抱えているのだと意見交換できたのが良かったです。参考になる取り組みもあり、自社にて共有したいと思います。』

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株式会社揚羽では、サステナブルな社会の実現に向かう企業の差別化を支援する「サステナビリティブランディング」、経営理念やブランド価値を社員が体現できる組織を作り上げる「インナーブランディング」のご支援をしています。理念浸透につながる組織づくりやインナーブランディング施策の伴走支援もできますので、ご興味のある方はお気軽にお問い合わせください。
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