世田谷区にある高校から、高校1年生のキャリア授業で、「ベンチャー企業の経営」というテーマで1時間話をしてほしい。
という依頼があり、行ってきました。

新卒採用活動で、大学生には話し慣れているのですが、高校生にベンチャー企業 をわかってもらうにはどうしようか考えました。
そこで、「企業を部活になぞらえてみる」ことにしました。

話した内容は以下。

部活が会社だとしよう。
試合に勝てば、貯金が貯まり、負けると貯金が減る。
その貯金で部員が生活する。
1年間負け続けたら廃部。ということを想像して下さい。

●伝統あるクラブのいいところ
都大会も順調に進み、貯金は増える。
切磋琢磨できる仲間がたくさんいる。
全国大会優勝を目指すという夢もある。
OBもたくさんいるので、焼肉をご馳走になったり、就職先を紹介してくれたりします。
女の子にもモテる。

●伝統あるクラブのイマイチなところ
OBが多い分、やたらと気を遣う。
部のルールも細かく決まっているので、面倒。
伝統のプレースタイルもあるので、こういうことをとりいれたい。と思っても、すぐには取り入れられなかったり。
実力があっても、監督の方針と違うとレギュラーになれなかったり。

これが会社でいうと、大手企業。
(ただ、伝統ある部活でも、今、常勝している部活か、低迷している部活かで雰 囲気が違うように、企業も同様です。)

そこで、君は、「自分がやりたいものがこの高校には無い。無いなら作っちゃえ!」
と新しい部活を作る。これがベンチャー企業です。

新しいクラブ(ベンチャー企業)を作る。
まず、何をやる部にするのか決める。(ビジネスモデル)
例えば、どうしても俺はダンスがやりたい。その素晴らしさをみんなに伝えて、全国大会 に出る!(経営理念、ビジョン)

●ベンチャーの大変なところ
どうすれば、ダンスで全国大会に行けるか、大会はそもそもあるのか、無かったら最初から無理だし、あったとしたら、強豪高校がなぜ強いのかを調査。(市場調査。)
部員集め。(なかなか運動神経のいい仲間は今の部活をやめない。)(採用活動)
道具の購入。前例の無い事なので、先生もなかなか理解してくれない。予算も少ないので、良い道具も揃えられない。(仕入れ)
練習場所の確保、伝統ある部と交渉。グラウンド使えないので、道路で練習。(オフィス環境)

失敗すれば、貯金をすべて使い果たし、生活できず、元の部活に戻れるかもわからない。引き入れた仲間も同様。

●ベンチャー企業のいいところ
自分のやりたいことができる。
あれこれうるさく言われることはない。
自分の好きな友達だけでクラブをつくれる。
うまくいけば、君の代で全国大会優勝!(競合少ないからね)
名誉をえる。歴史に残る!
誰もやったことがないことを俺がやったんだ!という充実感。
勝てば、少人数で貯金を分けあえるので、大金持ちに!

という、ハイリスクハイリターンな仕事。
苦労は人一倍だけど、人間的にものすごく早く成長する。実力はつく。

●社長に向いてる人
リーダーシップタイプ、アイデアマンタイプ、技術者タイプ、宇宙人タイプなどいろいろ いるが、
共通しているのは、
夢がある。目標が高い。負けず嫌い、諦めない、欲がある、体力、精神力は人並み以上。 誰が何と言おうと、クラスの誰からも反対されても、やり切る。しかも、周りを巻き込むバイタリティがある。

ただ、現時点でそうである必要はなく、その時点でそうであればいい。だから今そうじゃなくても、気にすることはない。

仕事は全て社会貢献であり、課題解決。
なにをもって社会貢献するか。どんなことなら、彼女とのデートの時間を削ってでも頑張れるか。
好きなものを見つけるために、こういうキャリア授業に出たり、多くの社会人の話を聞くこと。

てな話をしました。

他のキャリア講座では寝る子もけっこういたらしいのですが、
我ながら盛り上げに成功し、キラキラ目を輝かせていた子が多かったのがとっても嬉しかった!

講義を始める前に「将来社長になりたい人?」と聞くと、一人しか手を上げなかっ たのに、講義終了後にまた同じ質問をすると、半分以上が手を上げてくれた。

高校は、こんなキャリア授業をどんどんやって、いろんな社会人と学生を触れさせた方がいい。
そして、目標を見つけた子供たちは、今まで以上に生き生きと学生生活を送るだろう。

そして、日本の未来を救う人たちになるのだ。